トランプ新大統領が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱を正式に表明したことで、現在の枠組みのTPPは事実上頓挫、日本は通商戦略の最大の柱を失うことになった。政府は中国や欧州が入る別の通商協定の交渉を急ぐ考えだが、いずれも難航している。通商戦略の再構築には時間がかかりそうだ。
「残念だが、予想されていたこと。次を進めるしかない」。TPP交渉を進めてきた日本政府関係者は淡々と受け止めた。日本は20日、TPPの国内手続きを加盟国で最初に終えたばかり。「あらゆる機会を捉えて米国の翻意を促す」(交渉筋)方針は崩していないが、トランプ氏が見解を覆す可能性は低い。米国抜きの発効を探るにも実利に乏しく、現実味は薄い。
安倍政権は、TPPをテコにして世界の自由貿易交渉に弾みを付ける戦略を描いたが、ひとまず方針を転換。欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)や、中国が入る東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などの自由貿易協定(FTA)の交渉を加速させる考えだ。これらがまとまり、米国が孤立感を募らせれば、TPPに戻る余地が生じるとも考える。
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