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「スパイ」にされた姉 戦時下、カトリック信者弾圧

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カトリック高田教会の集合墓で、姉・中島邦さんの墓碑を見つめる笹川芳さん=新潟県上越市で、小川昌宏撮影
カトリック高田教会の集合墓で、姉・中島邦さんの墓碑を見つめる笹川芳さん=新潟県上越市で、小川昌宏撮影

戦後も続いた孤立

 昨年11月、新潟県西部の上越市に住む笹川芳(よし)さん(78)は高速バスに2時間揺られ、新潟地検(新潟市)を訪ねた。同行した夫は中に入れず、事務官が待つ細長い会議室に通されたのは笹川さんだけだった。机の上に3枚ほどの紙があった。判決文だ。72年前、今は亡き姉の中島邦(くに)さんを拘束し、戦後も本人と家族を苦しめた罪とは何だったのか。この日、笹川さんは初めて知ることになる。

 日本が戦争一色の時代、カトリックの信者だった姉は熱心に教会へ通っていた。1944年4月、姉たち信者7人は突然、特別高等警察に拘束され、翌月にはドイツ人神父も捕まった。戦後、「人間と思えないほどやせ細った体」で姉は帰ってきたという。

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