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武田 砂鉄・評『果てしのない世界め』少年アヤ・著

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“正しさ”の抑圧の中で静かに歩みを進めていく

◆『果てしのない世界め』少年アヤ・著(平凡社/税抜き1400円)

 子供って、ひとまず親にとっての良い子になろうとする。少なくとも、自分はなろうとした。計算を尽くした。頭を撫(な)でてもらうため、おもちゃを買ってもらうため。でもそうはうまくはいかず、どこかのタイミングで、ずっと良い子でいるのって無理なんだな、と悟る。とにかく冷静な生き物だったなと思う。

 祖父からラジコンカーを買ってもらった当時5歳の著者が、「ほんとうはお人形さんが欲しかったんだよ」と漏らすと、母は罪人のようにうつむいた。祖父はデパートに連れていき、人形を買った後で「いつも胸をはっていなさい」と告げた。その言葉は、「おかま」といじめられる日々の支えとなった。

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