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袴田巌さんと姉の「日常」(その1) 心むしばんだ恐怖

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 2017年元旦。年老いた男性が浜松市中区にある4階建てマンションの玄関先に立った。ジャケットを着込んで薄茶色の帽子をかぶる。近くの神社に向かう晴れ着姿の人々とは明らかに雰囲気が違った。「歩くことは義務なんだね」。ほぼ毎日、男性は半日かけて1人で散歩する。いつものように少し前かがみになりながら、黙々と歩き始めた。 

 「暗くなる前に帰ってくるでね」。姉の声が飛んだ。「正月? そんなもん、いつもとなんも変わりゃせんよ」。行く年のせわしなさも新年のめでたさも、2人には関係なかった。

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