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キャンパスNOW

トップに聞く 関東学院大学・規矩大義学長 毎日新聞社横浜支局開設110年特集

きく・ひろよし 1963年兵庫県生まれ。93年、九州工業大大学院工学研究科博士後期課程修了。民間企業の研究員などを経て、2002年、関東学院大学に。理工学部長などを経て13年から現職。53歳
京急百貨店で昨年開いた「Kーbizマルシェ」では、地元産の野菜加工品が飛ぶように売れた
法学部の合宿ゼミ。北海道・釧路湿原で地元行政の自然保護の取り組みについて学ぶ学生ら

生きるための教育を

 キリスト教精神に根ざした教育を掲げる関東学院大学(横浜市)は今春、新たに経営学部を設置する。さらに法学部に地域創生学科も新設。大学教育の大きな転換点を迎える。横浜から発信する「教育改革」は、どのような内容になるのか。目指すものは何なのか。規矩大義学長に語ってもらった。【聞き手・毎日新聞社横浜支局長 澤圭一郎】

    経営学を変革

     --今年4月から経営学部と法学部地域創生学科が新設されます。かなり特徴のある教育内容になると聞きます。

     これまでは経済学部の中にある経営学科でしたが、これを学部として独立させます。しかし、他大学の経営学部とは違います。私たちは「これまでの経営学の学び方を変革したい」という思いで、新設しました。もっと言えば「新しい実学」を実現したいと考えています。

     --新しいコンセプトがあるのですね?

     経営学部は旧来型ではない教育を目指すのです。「学習する」「勉強する」とはどういうことなのか。それは、学生が自ら成長している実感を持てることなのです。知識を持っているだけでは成長を実感できない。知識をもとに行動できることが大切なのです。ですから、経営学部は学生に行動してもらいます。もちろん基礎教育は施しますが、そこからは実社会に出て実践しながら、疑問や課題を解決するためにさらに知識を身につけてもらう。これが良いサイクルになれば、成長の実感が持てます。

     --入学してすぐに始まるのでしょうか。

     はい。1年生から少人数で「ビジネスプラン」を実践します。やってみて、気付き、学び、またやってみるの繰り返しです。最初は、おっかなびっくり、自信がなくても良いのです。柔軟性が高くなくてもいい。実践していくうちに、段々と自信がついてくるようになるはずです。

     --企業と協働しながらの教育なんですね。

     そうです。そのために「K-biz(ケービズ)」というプラットフォームを作りました。社会連携教育です。サポーター企業にご参加いただき、経営学部の教育について議論していきます。京急電鉄や三菱東京UFJ銀行、博報堂、中外製薬といった各業界をリードする企業10社にご参加頂いています。具体的な中身はこれからですが、生きた経営学を学んでもらえるようプログラムを組んでいきます。学生が4年間かけて「経営とは実際はこのようなものなのだ」という実際を体験してもらいます。

     このほかにも、最短5年で税理士資格を取得できる「会計人材育成プログラム」も開始します。

     --地域創生学科はどのような教育内容になりますか?

     政府などがいう「地方創生」と「地域創生」は、私は違うと思っています。私たちは、この首都圏にある横浜・神奈川で創生を考えています。神奈川県も人口密集地もあれば、過疎に直面している地域もある。都会の創生、自然豊かな地域の創生をともに考えます。そこで自治体と連携した学びを提供できるようにします。横浜市や川崎市、横須賀市など県内10自治体が1科目ずつ担当して、市民生活や福祉、環境、まちづくりなどを講義する地域創生特論を開講。さらに逗子市や葉山町などの協力で、多様なプロジェクト型学習科目も用意します。地域住民や行政、事業者、NPOなどと協働した地域作りの理論を学んだり、大規模災害に備えた学習や防災・復興演習、フィールドワークを通じて地域リーダーを育成する演習など設置します。公務員やNPO職員として空洞化に悩む地域を再生したり、消防士、警察官として災害などから地域を守る人材も育てたいと考えています。

     --経営学部も地域創生学科も学生を社会に出して教育する方法ですね。

     はい。これは大学全体のテーマでもあります。狙いは「社会が変容しても生き抜いていける人材の育成」です。実社会での価値観を身をもって感じ、それをしっかり見いだせることが肝心です。大学とともに社会にも学生教育に参加してもらいたいのです。そのために、教職員が企業や行政に赴いて、学生教育のプランを立ててもらう。例えば、昨年3月には横須賀市議会と提携しました。行政とともに地方議員も地域を作る仕事をしています。市議会議員さんに災害時の役割などを話していただいたり、大学図書館を使ってもらったり、あるいは議員事務所で学生がインターンシップに参加したりと幅広い活動をしています。この他に、横須賀市谷戸地域は人口流出や高齢化、空き家の増加といった課題を抱えています。学生が「自分たちで空き家を改修してシェアハウスとして活用しよう」と発案し、「KGU空き家プロジェクト」が進んでいます。また、経済学部経営学科の学生が、地元産の食材を安く販売して魅力をアピールするビジネスアイデア「K|bizマルシェ」が実現しました。京急百貨店に実際に販売コーナーを設けダイコンやジャム、ノリ、ワカメなどを並べたところ、160本も用意したダイコンが早々に完売するなど大成功でした。学びを人のため社会のために実践し、さらに学ぶという営みは、私たちの校訓「人になれ 奉仕せよ」の実践でもあるんです。

    都会的田舎で「国際交流」

     --国際交流も強化しているようですね。

     いま、グローバルや国際交流というと、学生が海外に留学や研修に行くイメージが強いですね。確かに海外で学ぶことは良いのですが、その前に1ステップがあって良いのではないかと考えています。つまり、海外の学生に留学してきてもらい、学内で日本の学生と交流をしてもらう。日本の学生にしてみれば、居ながらにして「国際交流」の場に居られることになる。大きな刺激を受けるでしょう。それを経てから海外に出ても遅くはない。今は中国や韓国、台湾、タイなどから留学生が来ています。さらに今春からはベトナムの大学から学生がやってきます。我がキャンパスの国際化は急速に進んでいます。

     --2024年には創立140周年を迎えます。そこへの将来構想はありますか?

     大学ですから「学生が勉強に満足でき、教職員も教育・研究を充実して実行できる」ことが最大の目標です。そのために経営もしっかりさせないといけませんし、オリジナリティーが必要だと思います。「なぜ関東学院で学ぶのか」という問いに応えられるものです。本学はキリスト教の学校です。他の大学とはひと味違うキリスト教らしさを出したい。かつては神学部がありましたが、今はなく、授業の中にキリスト教関連の講義があるだけです。教育プログラムかコースを設けるかは検討中ですが、キリスト教に関する教育体制を充実させたいと考えています。生きるための教育のエッセンスがキリスト教の教えや聖書(バイブル)にはあると思うので、押し付けではなく、学生が何かを感じてもらえるようなソフトなものをイメージしています。

     --関東学院大を志望する高校生にメッセージをお願いします。

     規模の大きな東京の大学だと、教職員と学生に距離感があるように感じます。しかし、横浜という都会にありながら、キャンパスは自然に恵まれており、地元の支援も受けている関東学院大は、教職員の温かみがすぐに感じられると思います。学生と教職員の距離も近い。金沢八景のキャンパスにいても電車に?分も乗れば、みなとみらい地区にも行けます。都会的田舎ですね。ぬくもりある雰囲気の中で勉強すれば、人生が変わると思いますよ。

    関東学院大学

     1884年、横浜山手に横浜バプテスト神学校(のちに東京学院神学部)創立。1895年、東京学院設立。1919年、中学関東学院設立。27年、財団法人「関東学院」が組織され、東京学院などを併合。49年、旧制専門学校を母体に関東学院大学を設置。現在、10学部4研究科があり学生数は1万878人。

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