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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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福島原発事故

命の原乳、出荷 避難指示区域で初の再開

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出荷再開の朝、笑顔を見せながら生まれたばかりの子牛を拭く蛭田博章さん=福島県楢葉町で2017年1月24日、森田剛史撮影
出荷再開の朝、笑顔を見せながら生まれたばかりの子牛を拭く蛭田博章さん=福島県楢葉町で2017年1月24日、森田剛史撮影

 「モーッ」。東京電力福島第1原発事故による避難指示で130頭の乳牛が犠牲になった福島県楢葉町の蛭田(ひるた)牧場で、新しい命を産み落とそうとする母牛が息んだ。搾乳量を確保するためラッシュが続く出産を介助した経営者の蛭田博章さん(48)は「無事に生まれてきてくれて、ありがとう」と、命を預かる重みを改めてかみしめた。避難指示が出た区域では初めて、5年10カ月ぶりに原乳の出荷を再開した1月24日朝、「喜びよりも責任を感じた」。

 2011年4月、牧場が警戒区域に指定された後も、蛭田さんは避難先から通いながら餌やりを続けたものの、栄養不足などで牛は次第に息絶えていった。その年の冬を越すのは難しかった。内部被ばくを調査する研究機関への検体提供に「牛の命が世の中の役に立てるなら」と同意し、残った10頭を安楽死させた。互いに涙を流しながらの別れだった。

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