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地方公務員再就職 あっせん禁止10府県 都道府県アンケ

 地方公務員の再就職を巡り、企業や団体に職員やOBの情報を提供したり、雇うよう求めたりする「あっせん」の禁止を10府県が条例や内規で明文化していることが、毎日新聞が47都道府県を対象に実施したアンケートで分かった。違反が発覚した事例はなかった。一方で全都道府県が再就職した際の届け出や公表をしており、規制よりも透明性の確保に力を入れる姿勢が目立った。

 文部科学省による組織的な天下りあっせんの問題化を受けて、地方公務員の再就職の実態を把握するため1月下旬にアンケートをした。昨年4月施行の改正地方公務員法は、国家公務員法と同様に再就職したOBによる現職職員への口利き行為を禁止。国公法が禁じるあっせんや現職職員の求職活動は規制せず、「状況に応じて必要な措置を講じる」よう定めている。

 あっせん禁止を条例や内規で明文化しているのは、神奈川▽愛知▽大阪▽兵庫▽鳥取▽岡山▽香川▽福岡▽長崎▽大分--の10府県。滋賀県は、県と利害関係のある企業へのあっせんのみ禁じた。大阪府は唯一条例で禁止し、違反した場合は氏名などを公表すると定めている。

 一方、禁止していない自治体は「専門的知識や行政経験のあるOBが地域で十分活用できず、公社などの運営に影響をきたすことも想定される」(山形)、「(憲法が定める)職業選択の自由がある」(新潟)などの理由を挙げた。

 再就職を希望する職員やOBと企業などをつなぐ「人材バンク」の仕組みを導入しているのは23都府県。京都、島根などは人材バンク以外でのあっせんを禁止している。東京では求人の申し込みがあった場合、外部有識者による第三者委員会で審査をした上で職員を紹介する。

 職務と密接な関係にあった法人などへの再就職を禁止・自粛する規定を設けているのは13都府県だった。設けていない自治体は「国家公務員のように早期退職の慣行はなく、規制の必要性がない」(青森)といった理由を挙げた。

 改正地公法で、退職者に再就職の届け出を課すことができるようになったことから、全都道府県が導入し、ほとんどが条例で義務化していた。再就職先などの公表も全都道府県が実施しているが、対象とするポストはそれぞれが決めている。【牧野宏美、青木純、武内彩】

100%公表、評価できる

 天下りに詳しい神戸学院大の中野雅至教授(行政学)の話 地方公務員は国家公務員のような早期退職の慣行はなく、役所が持っている権限や関連団体も少ないので天下りは国ほど根が深いものではない。ただ都道府県や政令市レベルでは過去に何度も官民癒着が問題になっており、住民に疑いをもたれないためにあっせん禁止などの規制は進めていくべきだろう。情報公開は一定の抑止力も働くので、再就職先公表の100%実施は評価できる。

汚職や官製談合を教訓に

 地方公務員の再就職を巡り、都道府県レベルで独自の取り組みを進めていることが、毎日新聞のアンケートで浮かび上がった。背景には、都道府県を舞台にした汚職や官製談合への「反省」の側面がある。

 都道府県が職員の再就職のあり方を見直した契機の一つが、各地で頻発した官製談合事件だ。職務に関連した企業に再就職した職員OBの関与が疑われるケースも少なくなかった。

 福島、和歌山、宮崎で知事らが相次いで逮捕された2006年には、全国知事会が「都道府県の公共調達改革に関する指針」を策定。退職前の5年間に担当した職務と密接に関連した企業へは、退職後最低2年間は再就職させないよう、各都道府県に対策を講じるよう勧めたほか、OBの口利き行為も地方公務員法を改正して規制するよう国に求めた。これらの一部は、昨年4月施行の改正地公法を先取りするものだ。

 このような背景もあり、再就職の届け出や公表の対象を管理職以上・退職後2年間としている自治体は多い。一方、県発注の公共工事を巡る官製談合・収賄事件で当時の知事が逮捕=有罪が確定=された和歌山は、さらに厳しい措置を取る。06年度、全職員・退職後5年間を対象に再就職先や役職を届け出るよう定め、内容の公表も始めた。

 トップの意向で強い規制を進めたのは大阪だ。「既得権益の打破」を掲げた当時の橋下徹知事が、08年に人材バンクを導入。後継の松井一郎知事が就任した後の12年4月に制定された条例で、あっせん禁止や指定出資法人などへの再就職禁止を定めた。橋下氏が市長を務めた大阪市でも、同様の条例が制定されている。

 一方、企業の不祥事がきっかけになったケースもある。東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟では02年、東電が自主点検で判明した原発の部品のひび割れなどのトラブルを国に報告していなかったことが発覚。「隠蔽(いんぺい)をした企業に再就職することは県民の納得を得られない」として、同年度から県の原子力安全対策課で管理職の業務経験がある元職員が、電力会社への再就職を自粛するよう要綱で定めた。【牧野宏美、武内彩、石川貴教】

都道府県の職員の再就職に関する取り組み状況

<あっせん禁止の明文化>

神奈川、愛知、大阪、兵庫、鳥取、岡山、香川、福岡、長崎、大分=10府県

<人材バンクの導入>

岩手、栃木、群馬、東京、神奈川、新潟、長野、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、奈良、鳥取、島根、岡山、徳島、香川、高知、福岡、佐賀、長崎、大分=23都府県

<特定の再就職先の禁止・自粛>

岩手、宮城、埼玉、東京、神奈川、新潟、滋賀、京都、大阪、兵庫、鳥取、徳島、福岡=13都府県

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