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読書日記

著者のことば 中原一歩さん

「夢遊病者たち」=宮武祐希撮影

 ■私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝 中原一歩(なかはら・いっぽ)さん 文芸春秋・1620円

間髪入れぬ「天性の舌」

 鮮烈なエピソードから始まる。ピースボートのスタッフだった1990年代後半、テレビの中でしか知らない小林カツ代さんに、年越しの船上で黒豆を炊いてもらうことを思いつく。当時、20代初めの若造。「手紙を書いてお願いするなんていう礼儀を知りませんでした」と、いきなり電話をかけた。「面白いわね。私、行くわ」。間髪入れずに返ってきた声に驚いた。人気料理研究家との十数年にわたる付き合いがスタートした。

 「新しい世界に自分の力でこぎ出す行動力があった方でした。『どんな所へ連れて行かれるか』という不安に、好奇心が勝ったのでしょう」。そんなスピリットの源流は、カツ代さんの生まれ故郷の大阪・堀江にあるという。実家は製菓材料の卸問屋。「ミナミを支える堀江の商人には、新しいものを生み出すパイオニア精神があふれていた。その血脈を受け継いだ」

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