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武田 砂鉄・評『本屋、はじめました』辻山良雄・著

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替えがきかない切実で開かれた本屋

◆『本屋、はじめました--新刊書店Title開業の記録』辻山良雄・著(苦楽堂/税抜き1600円)

 出版業界で息をしていると、送られてきた本をそのまま並べただけの「金太郎飴(あめ)書店」批判が飛び交うのは日常茶飯事なのだが、「店主が厳選した品ぞろえを提案する、いわゆる『セレクト書店』というものにも抵抗がありました」と言い切る書店人は珍しい。「皆がいいというものに倣(なら)う」だけのセレクト書店の乱立が、書店の個性を画一化させるという矛盾を孕(はら)んでいる。

 棚を編集し先鋭的な並びで読者を刺激し続けたリブロ池袋本店は2015年7月で閉店してしまったが、その閉店を見届けた後に、東京・荻窪に本屋「Title」をオープンさせた著者は、先述したように、時に静かに憤(いきどお)る。しかし、「わざわざ小さな本屋まで足を運ぶ」体験を作る姿勢だと考えれば、どこまでも誠実だ。

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