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BPO

「臆せずに放送を」 TV選挙放送で意見書公表

2016年の参院選や都知事選をめぐるテレビ放送について意見を述べるBPO放送倫理検証委員会の川端和治委員長(奥中央)ら=東京都千代田区で2017年2月7日午後4時10分、徳野仁子撮影

機械的・形式的平等に「編集の自由を自ら放棄するに等しい」

 NHKと日本民間放送連盟による第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送倫理検証委員会(委員長・川端和治弁護士)は7日、テレビの選挙放送について意見書を公表した。選挙期間中も報道は「自由」であるとし、政治的公平性は発言の回数や時間といった「量」ではなく「質」で保つべきだとしている。政治的公平性を強調して放送局に対する監視の姿勢を強める政府をけん制し、「臆することなく放送を」と鼓舞した。【須藤唯哉、丸山進】

     委員会が個別の番組ではなく、選挙報道全体に対して意見書を公表するのは初めて。

     意見書は昨年の参院選と東京都知事選について「選挙期間中に主張の違いとその評価を浮き彫りにする挑戦的な番組が目立たないことは残念と言わざるを得ない」とした。

     その上で、質的公平性を保つために「取材で知り得た事実を偏りなく報道し、明確な論拠に基づく評論をするという姿勢が求められる」とする一方、「放送の結果、政党や候補者の印象が同程度になるというようなことは求められていない」とした。

     川端委員長は7日の記者会見で「(有権者に)選挙権を正しく行使するために必要な情報をきちんと伝える。それが放送局の責務だ」と説明。会見では複数の委員が、客観的な事実や真実よりも感情や個人的な信念が重視される「ポスト・トゥルース(真実)」時代の放送局の役割を指摘。意見書でも「政党や立候補者の主張に誤りがないかをチェックすることは、マスメディアの基本的な任務」と説いた。

     議論の発端となった参院選と都知事選の個別番組について、放送倫理違反はなかったと結論づけた。都知事選では「一部の立候補者を重点的に取り上げることは、政治的公平性を欠くことにはならない」とした。

    BPO意見書に、放送現場から「一歩前進」との評価する声も

     放送を巡っては、政治的公平性を求める放送法4条を、制裁を視野に入れた法規範とみなす政府の統一見解が昨年2月に示され、放送局内の自主規制的傾向が一層強くなっている。

     そのため意見書に対し、放送現場からは「一歩前進」と評価する一方で、「番組はすぐに変わらない」との意見も聞かれる。

     地方民放の報道出身者は「発言時間を平等にすることに心をくだいてきたが、平等でなくてもいいというのは安心材料」と評価した。

     ただ、あるNHK職員は、意見書の内容を評価しつつも「これまでのバランスを取ってきたやり方が間違いだったとも思っていない」。民放の報道番組の担当者は「現場はすでに萎えてしまって、意見書だけで放送は変わらない」と悲観する。

     日本民間放送連盟(民放連)会長室は「民放連の場でも議論を深めていく」とし、加盟各社に配布する冊子などに意見書の内容を盛り込み、周知させる方針だ。

    意見書ににじむ「委員会の危機感」

     委員会が政治的公平性を求める放送法4条を「倫理規範」とし、選挙報道の自由を説く意見書を公表した背景には政治の影がある。

     自民党は2014年衆院選で、在京各局に選挙報道について「公平中立、公正の確保」を要望。委員会は、こうした「圧力」を批判する意見書を15年11月に公表した。その後も放送法4条を「法規範」とし、違反した場合の電波停止命令をちらつかせる高市早苗総務相の発言などが相次ぎ、選挙報道の現場には量的公平性にとらわれるといった閉塞(へいそく)感が漂っている。

     総選挙は今秋にもあるとみられている。息苦しさを感じながら報じる画一的な選挙報道では、有権者に有益な情報は届かないだろう。委員会の危機感が意見書ににじむ。

     放送の自由を守り、民主主義を支えるためには、放送局が自ら定めたルールに従って自主自律を貫くことが欠かせない。【須藤唯哉】

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