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三浦雅士・評 『歌の子詩の子、折口信夫』=持田叙子・著

 (幻戯書房・3024円)

 ◆持田叙子(のぶこ)著

 折口信夫(おりくちしのぶ)が亡くなって半世紀をはるかに超えるが、その評価はいよいよ高い。国文学、民俗学の領域においてはもちろん、文芸批評の対象としても論じられ続けている。

 釈〓空(しゃくちょうくう)は折口の詩歌におけるペンネームだが、一目瞭然、法名である。折口は一生、法名をペンネームとし続けたわけで、その背後に、少年時代の恋愛が潜むことを論じたのが富岡多惠子の『釋〓空ノート』(二〇〇〇)だった。恋愛の相手は新仏教運動に身を投じていた九歳年上の僧侶・藤無染(ふじむぜん)。むろん同性愛である。この富岡の衝撃作の延長上、折口を新仏教運動とのかかわりを含めて雄大なスケールで論じたのが安藤礼二の大著『折口信夫』(二〇一四)である。

 その後に、本書『歌の子詩の子、折口信夫』が続く。文字通り、詩歌における折口を扱っていて、時代の思想の流れに力点を置く安藤の著書と、そこで一線を画す。安藤も折口の小説『死者の書』を重視するが、照明の当て方が大きく違ってくる。本書の焦点はあくまでも日本の詩歌の歴史における折口すなわち釈〓空だからである。

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