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内田麻理香・評 『フンボルトの冒険-自然という<生命の網>の発明』=アンドレア・ウルフ著

 (NHK出版・3132円)

 一九世紀に知の共和国の王者として君臨したアレクサンダー・フォン・フンボルト。彼は、同時代の人々に多大な影響を与えた博物学者、探検家であったにもかかわらず、今となっては忘れられた英雄である。本書は、そのフンボルトの足跡をたどり、彼の生み出したもの、彼に共鳴した人々の姿を描く。ページを繰るだけでフンボルトの冒険譚(たん)にはらはらし、彼の剛胆(ごうたん)さと知性に魅了される。彼の不安定で毒のある性格でさえも美点に思えるほどだ。この本は、自然、科学、政治、芸術などあらゆる分野を包含した知の巨匠・フンボルトの復権を果たすだけでなく、読者をもれなく彼のファンにしてしまう力がある。

 当時はナポレオンに次ぐ有名人と言われたフンボルトであるが、なぜ知名度が低いのか。彼は等温線を考案し、磁気赤道も発見した。大著『コスモス』をはじめとして、多数の著作を執筆し、ベストセラーにもなった。それでも彼はあまり知られていない。著者はその理由の一つとして、フンボルトの提唱した自然の概念は、すでに私たちの世界観の一部として当たり前になっているからではないかと指摘する。

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