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余録

「聖バレンタインの日は過ぎたのに…

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 「聖バレンタインの日は過ぎたのに、この森の小鳥たちは今恋の相手を求めはじめたのか?」。シェークスピアの「真夏の夜の夢」のせりふだが、きのうのバレンタインデーはもともと鳥たちが求愛のさえずりを始める日とされていたのである▲2月の日本ではウグイスの初鳴きがいち早く春の訪れを告げ始める。例年の生物季節観測ではソメイヨシノの開花よりも約1カ月早く日本列島を北上し始めるウグイスの初鳴き前線である。初鳴きの声はまだホーホケキョとは鳴けず、ホーホケッとひかえめだそうだ▲続く寒さにもかかわらず、すでに伸びた日脚(ひあし)が目の春を感じさせるこの時季である。ウグイスはじめ鳥たちも日照時間の変化からさえずりを始めるそうである。ウグイスが飼育された昔はいち早く鳴かせようと、夜も一定時間照明下に置く「夜飼(よがい)」が行われたという▲春の訪れを少しでも早く耳で聞きたいという人の身勝手で、ウグイスには迷惑な話だった。多くの地方ではもう少し待たねばならない耳の春だが、それに先駆けて鼻の春がやって来てしまったという方もおられよう。いや、梅の花の香りの話ではなくスギ花粉である▲すでにスギ花粉の飛散が始まっている関東地方だが、今季は東北地方ともども前年に比べ飛散量は少ないようである。これに対し近畿、九州、四国、東海の各地方は前年の倍以上が見込まれているそうだ。鼻の春の憂鬱度は「西高東低」となりそうな日本列島である▲山菜や春野菜がうれしい舌の春、ほっこりとした土の感触が楽しい指先の春ももう間近である。今や花粉症の身には五感でよろこべた春が懐かしい。

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