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二月花形歌舞伎 若さが見せた命の痛ましさ

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 二月花形歌舞伎が大阪松竹座で上演中。20代~30代初めの若手役者が、人形浄瑠璃から移された義太夫狂言の名作と真正面から格闘している。

 午前の部は「義経千本桜」の「渡海(とかい)屋」「大物浦(だいもつのうら)」。平家方の人物の雰囲気が、仮の姿の前半と、素性を現す後半とで大きく変わる。船問屋の主人、銀平(尾上松也)はすっきりして、小気味のいい造形。だが平知盛の正体を現してからは、白糸威(おどし)の鎧(よろい)に一門の恨みを込める=写真手前、松竹提供。女房のお柳(中村壱太郎)は当初、世話女房のせりふを面白く聞かせるが、典侍(すけ)の局(つぼね)の心に戻ると物腰に品格が漂う=同左。大物浦で入水(じゅすい)を覚悟した局が、幼い安徳帝に語る言葉が哀切だ。

 平家一門の相模五郎(中村種之助)と入江丹蔵(尾上右近)は戦に消え、知盛は碇(いかり)と共に海に沈む。俳優が皆若く、さすがに人物の凄(すご)みや深い陰影の表現には届かない部分があるが、逆にその若さが、戦で滅ぶ盛りの命の痛ましさを印象づけた感がある。源義経(坂東新悟)は、はかなさを秘めた貴公子ぶりで好演。弁慶(中村歌昇)が終幕で吹く法螺(ほら)貝の音で、この悲劇の幕が下りる。

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