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<カジノルポ>日本市場狙う黒船 米大手「1兆円投資したい」

五つ星ホテル・アリアのカジノ。ディーラーが笑顔で迎えてくれる=米ラスベガスで

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 カジノを含む統合型リゾート(IR)整備推進法が成立した昨年12月15日。米ラスベガスに本拠を置くカジノ運営大手、ウィンリゾーツのマット・マドックス社長は、日本市場開拓に向けたパートナー探しのために東京を訪れていた。大手金融機関や商社の幹部らに自社のカジノ開発プランを売り込むと、「他社にはないデザインとサービスだ」と反応は上々。そんな中、IR法成立の一報を受けたマドックス社長は「目指すゴールは我々も日本も同じだ」と日本上陸への手応えを感じ取った。

     米カジノ大手が進める市場開拓の主戦場は、日本を含めたアジアだ。近年では最大手のラスベガス・サンズやウィンなどがマカオやシンガポールで事業を開始。背景には米国内でのカジノ人気の頭打ちがある。きっかけは2008年のリーマン・ショック。米国のカジノ中心地、ラスベガスのカジノビジネスの売上高はピークの07年には65億ドル(約7400億円)だったが、16年は58億ドルにとどまった。カジノ大手は新たな成長市場を求めている。

     1月初旬、ラスベガスでは世界最大の家電見本市CESが開かれていた。会場の五つ星ホテル・アリアは出展企業やメディアの関係者でごった返し、夜になると参加者の多くが巨大カジノに吸い込まれていく。じゅうたんを敷き詰めた廊下を行くと照明を抑えたフロアにリズミカルな音楽が響き、カードゲームのテーブルやスロットマシンがずらりと並ぶ。「このテーブルの1回のかけ金は1000ドルが上限だよ」。ディーラーの笑顔が射幸心をあおる。常連客なら1泊1万ドルする最上階の超豪華スイートに無料で泊まれるという。

     カジノが今でもラスベガスのビジネスの中心にあることは間違いない。だが建物のスペースは広大な施設の1割に満たず、劇場やショッピングモール、レストラン、展示会場や会議室のほうが目立つ。ネバダ州の調査ではホテルや物販、劇場などの16年の売り上げは112億ドルとカジノの倍近くに拡大し、着実に成長を続けている。

     カジノ大手が日本進出で狙うのは、こうしたカジノを核としたホテル、物販、劇場などのIRの“輸出”だ。

     「いよー! カジノでがっぽがぽ。ああ、すってんてん」。昨年5月、米ラスベガスで初めての歌舞伎公演が開かれ、市川染五郎さんが三味線のリズムに合わせて舞った。主催したのは米カジノ大手、MGMリゾーツ。歌舞伎公演は日本進出への意欲をアピールする場でもあった。

     同社は14年に日本法人を設立。開発担当役員、エド・バワース氏は「日本企業やファンドと共同で大阪か横浜、東京に95億ドル(約1兆円)を投資したい」とジャパンマネーへの期待を隠そうともしない。

        ◇ 

     ギャンブル依存症への懸念から、日本ではカジノアレルギーが根強い。にもかかわらず、水面下では「日本版カジノ実現」に向けた動きが確実に進みつつある。ラスベガスでカジノの今を追った。【土屋渓】


     ■KeyWord

    統合型リゾート(IR)整備推進法

     カジノやホテル、国際会議場などが一体となった統合型リゾート(IR)の整備を促す法律。カジノは日本の刑法で禁じられているが指定地域のIRに限り解禁する。カジノの合法化で滞在型観光を促進し、地域経済の振興を図る狙いがある。昨年12月の臨時国会で可決・成立した。

     ただ、ギャンブル依存症増加の懸念が根強くあり、IR法施行後1年以内に依存症対策などを盛り込んだ実施法案を策定する予定。実施法案の成立後、IR誘致を希望する地方自治体から実施計画の提出を受けて選定する。これまでに大阪府と大阪市のほか、北海道苫小牧市、長崎県佐世保市の大型リゾート施設「ハウステンボス」などが誘致に意欲を示している。

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