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本村凌二・評 『ギリシア人の物語2』=塩野七生・著

 (新潮社・3240円)

民主政の核心はポピュリズム?

 まことしやかに古代の三大美男子といわれるペリクレスは、なによりもアテネ民主政の立役者であり、三十年以上にわたって最良の民衆指導者であった。

 だが、彼が死んだとき、市民はそれほどの感慨もなく、国葬にして弔おうと言い出す者もいなかった。それどころか喜劇作家アリストファネスは、民衆に寄り添うどころか叱りつけてばかりいたペリクレスを笑いの種にして、死んでくれて清々したと言わんばかりだったという。そこには、いったい何が起こったのだろうか。

 そもそも民主政の華といわれるペリクレス時代だが、同時代の歴史家ツキディデスは「形は民主政体だが、実際はただ一人が支配した時代」と評している。誰にでも発言する機会があり、すべてが多数決で決定するアテネ社会にあってなぜ「ただ一人」が君臨しえたのか。しかも、自給自足の一国平和主義の農業国スパルタと異なり、アテネには快適な生活を愛する人々がおり、食糧も木材も輸入に頼らざるをえないのだ。

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