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不成立に 産廃処分場建設是非50%下回る

投票所に足を運んだ有権者(左)=石川県輪島市で2017年2月19日、久木田照子撮影

 石川県輪島市門前町大釜地区に計画されている産業廃棄物処分場建設の是非を巡り、同市で住民投票が19日、行われた。投票率は42・02%で、規定の50%を下回り、投票は不成立となった。投票日を前に、建設を推進する市議会最大の自民系会派は「棄権」を呼びかけて投票不成立に向けた運動を展開し、専門家からは「住民投票の趣旨に反する」と問題視する声も出ている。梶文秋市長は結果を受け、処分場受け入れを進める方針。

 大釜地区は輪島市の南部で、日本海から約2キロ入った山間にある。市などによると、過疎・高齢化で「限界集落」となり人口が5世帯8人まで減少。2001年、大手ゼネコンなどと協議し、住民の移転と引き換えに処分場を受け入れることを決めた。住民は既に転居し、地区は無人。計画では、東京ドーム約3杯分となる345万立方メートルの産廃を、石川、富山、福井の3県から48年間にわたり受け入れるという。

 環境面などの懸念から市議会は06年と11年の2回、反対意見書を可決したが、15年になり、運営会社が処分場の排水の処理方法を見直したことから、市議会が昨年6月、建設容認に転じた。しかし、大釜地区の下流域にある剣地地区の住民らが反発し、昨年11月から署名集めを展開し、今年1月に住民投票の実施が決まった。

 同市の住民投票条例では、投票率が50%以下の場合、投票は成立せず、開票しないと規定。建設推進派の自民系会派は「投票に行かないことで『民意』を示してください」とするチラシを新聞に折り込むなどして棄権を呼びかけていた。梶市長も「投票に行かないのも一つの意思表示」と述べていた。同市の当日有権者数は2万4602人。【金志尚、久木田照子】

市政不信ますます高まる

 武田真一郎・成蹊大法科大学院教授(行政法)の話 行政や議会が露骨に棄権の呼びかけをした例は聞いたことがない。賛否両論を議論して1票を投じ、民意を反映させるという住民投票の趣旨に反する行為だ。そもそも議員が住民の声を聞こうとせず、間接民主制が機能不全に陥っている。これを改めるために住民投票があるわけで、投票不成立で市政への不信はますます高まるだろう。

梶市長、計画進める考え

 梶市長は投票不成立の確定後、記者会見し、「開票していないので賛成、反対がどれだけあったかは分からないままになった」と総括。不成立になったことについては「コメントし難い」として評価を避けた。処分場計画については「(許認可権を持つ)県にしっかり審査をしてもらい、方向性を出してもらう。市としては住民が不安を感じないよう、安全性や法が守られているか最大限見ていかないといけない」として事実上、計画を進める考えを示した。

 一方、住民投票の実施を進めてきた「輪島の産業廃棄物処分場問題を考える会」代表で、剣地地区長の板谷外良(そとよし)さん(75)は投票不成立を受け、同会メンバーら約10人とともに記者会見し、「民意を明らかにすることができず残念だ」と落胆した。投票に出向いた市民に対し「ありがたく、心強く思う」と謝意を示す一方、建設推進派が棄権を呼びかけたことについては「投票に行く人は事実上反対派だとレッテルを貼られた。投票の自由を妨害する動きだった」と厳しく批判した。【久木田照子、道岡美波】

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