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第103回全国高校野球選手権

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二つの春

’17センバツ 第2部「チームを支える人」 秀岳館/上 ジム経営・池本則之さん(50) /熊本

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ゴムチューブを使ったトレーニングで指導する池本さん 拡大
ゴムチューブを使ったトレーニングで指導する池本さん

 <第89回選抜高校野球>

筋トレで自信を

 「両足が着地した瞬間、すぐに地面を蹴ってジャンプしろ。自分を追い込め」。約50センチ間隔で一列に置かれた10個の三角コーンを、選手たちは両足をそろえてジャンプし、1個ずつ連続して跳び越えていく。しかし8個目ぐらいで多くはジャンプが甘くなる。すかさず基礎体力トレーニングを指導している池本則之さん(50)の厳しい声が飛んだ。

 秀岳館では、毎週月曜と金曜が基礎体力トレーニングの日になっている。グラウンド脇の筋トレ場は屋根はあるものの吹き抜け。元は土俵だった場所で、それほど広くなく、ベンチプレス器具2台とスクワット用ラック4台がある程度だ。

 その周囲の通路に三角コーンを並べる。屋根を支える鉄柱にゴムチューブを結びつければ練習器具になる。「器具を少しずつ増やしてもらっているものの、お世辞にも立派な筋トレ場とは言いにくい。が、知恵を絞ってやっている」

 鎮西高校のバレー部出身。兵庫県のスポーツジムで1年半ほど働いた後、熊本市に戻った。約17年前、現在のトレーニングジム「コンディショニングセンターマックス」(熊本市中央区)を設立した。全国レベルの強豪、県立大津高サッカー部をはじめ、県内のサッカー部や野球部など10高校で筋トレを指導している。秀岳館は2014年に鍛治舎巧監督が就任してから関わるようになった。

 トレーニングメニューは全員が同じものをローテーションでこなしていく。その中で池本さんは各選手の体の特徴や体重に合わせて、例えばベンチプレスの重さや回数を微妙に調整しながら指示していく。数値は常に記録し、次の目標値を設定する基にしている。

 ただ、そうした基礎体力トレーニングも残り数回という時期に来た。チームの現状を「現時点では、春夏連続で甲子園ベスト4だった昨年のチームにはまだ届いていない。投げる、打つ、走るといった動きの中で自分の力をどう引き出すかという感覚がまだ分かっていない」と厳しく見つめる。

 しかし「今まで積み上げてきたものを基に、どう化けてくれるかという楽しみもある。彼らにどううまくヒントを出し、自信をつけさせていくか」。目の奥に期待が光った。

  ◇  ◇

 第89回選抜高校野球大会の開幕まで残り1カ月を切った。緊張感を高めながら、練習に励む選手たちを支える人たちに目を向ける。

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