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’17センバツ・第2部/2 前橋育英 「シャドー守備」 堅守で流れつかむ /群馬

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実戦を想定した守備練習をする前橋育英の選手=前橋市民球場で 拡大
実戦を想定した守備練習をする前橋育英の選手=前橋市民球場で

 <第89回選抜高校野球>

イメトレで「強気」に

 前橋育英の守備練習は、最初のキャッチボールの後に始まる。だが、初めて見る人は戸惑うかもしれない。自分のポジションについた選手たちは、ボールを使わずに捕球・投球動作を繰り返す。およそ10分間。黙々と、架空の打球を処理し続ける。

 これは「シャドー守備」と呼ばれる。各選手が、打球の強さや方向を自分で想定し、「グラブの出し方」や「打球をはじいてしまった後」など、さまざまな動きをするイメージトレーニング。荒井直樹監督が社会人野球のいすゞ自動車でプレーしていた頃にしていた練習だ。

 この練習を取り入れたきっかけは昨秋の県・関東大会での苦い経験にある。

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 前橋育英は伝統的に堅守を誇る。しかし、昨秋は9試合で計12失策と安定感を欠いた。その一因は選手の「弱気」だった。

 堀口優河選手(2年)は県大会初戦の桐生市商戦で2失策。「ボールを大事に捕ろうと思い、後ろに下がってエラーしてしまった」。関東大会準々決勝の慶応(神奈川)戦では、レフトとセンターを守った飯塚剛己選手(2年)が相手の4番打者、正木智也選手(2年)のスイングの速さにけおされていた。「打球も速い。正直、『飛んで来てほしくない』と思いながら守っていました」

 シャドー守備の成果は表れつつある。内野の全ポジションをこなす鈴木志音選手(2年)は「イメージすることで打球反応が良くなり、強気にアウトを狙えるようになった」と話す。堀口、飯塚両選手も「チーム全体で積極的に守れるようになってきた」と口をそろえる。

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 「相手にプレッシャーを与える守備が今チームの目標」と飯島大夢主将(2年)は言う。「走者を出して相手の流れになりかけても、併殺を狙ったり、本塁でアウトを狙ったりと、ミスを恐れず強気にアウトを取ることで、流れを奪い返せる」

 それは実戦さながらの練習で磨かれる。

 「ワンアウト、ランナー、二、三塁!」。ノックでは、清水陽介コーチが具体的に「場面」を告げる。ピッチャーの球がキャッチャーミットに収まるのと同時に、ライトにヒット性のボールをノックで打ち込む。「ライト、ボール四つ!」。「四つ」とは「本塁」。選手たちは、ランナーを本塁でアウトにするため、走者の動きを見ながら、ベースカバーやバックアップに入る。本塁が間に合わないと判断すれば、すかさず「ボール三つ!」と切り替え、三塁でのアウトを狙いにいく--。

 「『守備がうまい』と相手に思わせると、相手にストレスを与えられる」(荒井監督)。昨夏の甲子園では逆に守備からゲームの流れを失い、初戦敗退しただけに、飯島主将の決意は固い。「センバツでは、まず、強気の守備で試合の流れをつかみたい」【西銘研志郎】

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