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第103回全国高校野球選手権

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’17センバツ・第2部/2 健大高崎 「機動破壊」 「14年夏」の再来を /群馬

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走塁の練習をする健大高崎の選手たち=高崎市で 拡大
走塁の練習をする健大高崎の選手たち=高崎市で

 <第89回選抜高校野球>

走塁かぎは決断力

 走った!--。2014年8月22日、夏の甲子園準々決勝・第3試合。健大高崎-大阪桐蔭戦のテレビ中継を、岐阜市内の自宅で見ていた中学2年生の野球少年は、健大高崎の野球にくぎ付けになった。

 初回だった。四球で出塁した平山敦規選手(当時3年)が相手の警戒をものともせず、きれいに盗塁を決めた。平山選手はこの試合で3盗塁を奪い、93年ぶりに個人最多盗塁の大会記録(通算8盗塁)に並んだ。試合には敗れたものの、チームは4試合で計26盗塁。大会記録の29にあと3個と迫った。

 足の速さに自信があった少年は心に決めた。「健大高崎に行く」。その少年が今1年生の今井佑輔選手だ。

 この夏で「機動破壊」野球を全国に知らしめた健大高崎は3季連続で甲子園に出場し、最近は、今井選手のように「足に自信がある」と入部する部員も増えた。

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 しかし、盗塁は、俊足であれば奪えるという単純なものではない。

 昨年の秋季県・関東大会8試合で健大高崎の盗塁数は26。その内訳を見ると、1番打者の湯浅大主将(2年)が8盗塁、2番の小野寺大輝選手(2年)が9盗塁と2人で3分の2を占める。今井選手の50メートル走のタイムは5秒9。チームトップクラスだが、盗塁は1にとどまった。

 湯浅主将と小野寺選手は6秒0。タイムだけみれば今井選手が上回る。「中学時代は投手が動き出すのを見てから走ってもセーフだったんですが、高校野球ではそうはいかない」と今井選手は高校野球のレベルの高さを実感している。「ここで行っていいのかという迷いが生まれると、一歩目が遅れて、刺されてしまう」

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 健大高崎では、5月の1年生大会まで、新入部員は走塁の基礎をみっちりとたたき込まれる。離塁、帰塁、スライディング--。技術面は十分に備わっている。何が盗塁の成否を分けるのか。「駆け引き・勇気・決断力ですよ」。走塁を指導する葛原毅コーチは言う。

 それらは試合や実戦形式の練習でつかむしかない。そのため、わざと選手にこんな言葉をかけて追い込む。「ここで、(盗塁)できなかったら負けるよ」--。「崖っぷちに追い込まれると踏み込むしかないでしょ。でも、自分が走らなくても誰かが走るだろうとか、走らなくても勝てるだろうとか、『後ろ』があると果てしなく決断力は鈍ります」

 今井選手は最近、少しずつだが「投手の動き」がつかめてきた。今チームのメンバーの50メートル走のタイムは、大会記録に迫った14年夏時より速いという。あの夏の再来を。高校野球ファンの期待はいやが上にも高まる。【山本有紀】=つづく

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