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第103回全国高校野球選手権

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和歌山・センバツ名勝負

/1 第42回決勝 箕島5-4北陽(延長十二回) 1970年4月5日 /和歌山

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第42回選抜高校野球大会で初優勝を決め、選手たちに胴上げされる箕島・尾藤監督=阪神甲子園球場で 拡大
第42回選抜高校野球大会で初優勝を決め、選手たちに胴上げされる箕島・尾藤監督=阪神甲子園球場で

伸び伸び野球で初V

 和歌山の「高校野球」は、戦前に和歌山中(現桐蔭)と海草中(現向陽)が計5回の全国制覇を成し遂げ、王国の座を築いた。だが、戦後は、1965年のセンバツで市和歌山商(現市和歌山)、48、61年夏の甲子園で桐蔭が決勝に進出したものの準優勝となり、長く優勝できなかった。

 そんな60年代末に現れた新星が箕島だった。「野球は本来楽しむべきスポーツ」という20代の青年監督、尾藤公に鍛えられた選手たちの「伸び伸び野球」は、時に大舞台で信じられないような力を発揮した。

 春夏通じて甲子園初出場となった68年のセンバツは、後のプロ251勝投手、東尾修を擁して優勝した大宮工(埼玉)と準決勝で対戦。敗れはしたが、大きな注目を集めた。

第42回選抜高校野球大会決勝の対北陽戦で、延長十二回に島本が初優勝を決めるサヨナラ打を放った=阪神甲子園球場で 拡大
第42回選抜高校野球大会決勝の対北陽戦で、延長十二回に島本が初優勝を決めるサヨナラ打を放った=阪神甲子園球場で

 70年センバツには、投手・4番の島本講平を軸にして臨んだ。正捕手が大会直前に負傷し、出場できなくなったが、これが逆にチームの結束を固めた。初戦でこの年の夏を制する東海大相模(神奈川)、準々決勝で大会連覇を狙った三重(三重)、準決勝でセンバツ優勝3回の広陵(広島)と強豪を次々と破った。

 決勝の相手は、ともに初優勝を目指す北陽(大阪)で、試合は延長戦にもつれ込んだ。箕島は十回表に1点をリードされたが、その裏2死から森下敏秀の適時打で追いつき、十二回に島本がサヨナラ適時打。4時間15分の熱闘を制し、2回目の甲子園で頂点に立った。

 「あの晴れ姿を見てやってください」。尾藤は誇らしげに島本をたたえた。和歌山の高校野球に新時代が訪れた。(敬称略)

    ◇

 今年のセンバツは、県内から4年ぶりに出場校がなかった。来春以降、「野球王国」の復活を願う高校野球ファンの声は根強い。これまで県勢が「春」に甲子園で繰り広げてきた名勝負を振り返る。【矢倉健次】(次回は3月1日掲載予定)

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