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<社説>受動喫煙 「屋内全面禁止」を原則に

 自分はたばこを吸わなくても、他人のたばこの煙で健康を害することを防ぐため、受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改正案が今国会に提出される予定だ。

     世界保健機関(WHO)によると現在49カ国が医療機関や学校、飲食店などでの「屋内全面禁煙」を法制化している。健康増進法で努力義務にとどめている日本の取り組みは遅れている。飲食店を含めて屋内は原則禁煙にすべきである。

     政府が受動喫煙対策に乗り出すのは、2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、国際オリンピック委員会とWHOが「たばこのない五輪」を求めているからだ。02年のソルトレークシティー大会以降はどの開催地でも受動喫煙を防止する法整備が行われてきた。

     日本政府の当初案は、小中学校や医療機関が最も厳しい「敷地内禁煙」、福祉施設や官公庁、バス、タクシーなどは「屋内禁煙」、飲食店やホテルなどは喫煙室の設置を認めた上で「屋内禁煙」とし、悪質な違反には罰金を科すというものだ。

     ただ、近年の五輪開催地である北京、ロンドン、リオデジャネイロでは小さな飲食店でも屋内禁煙が法律や条例によって徹底されている。18年に平昌で冬季五輪が開催される韓国でも店内の広さに関係なく全飲食店が屋内禁煙とされている。

     それに比べると、密閉した喫煙室で煙を排出する設備などがあれば飲食店での喫煙を認める日本の案は甘いと指摘されていた。ところが、この案に対しても飲食店業界や自民党内から「小さな店では喫煙室を設けることができない」「廃業に追い込まれる」との批判が噴出した。

     このため厚生労働省は延べ床面積30平方メートル以下のバーやスナックでは喫煙を認めることを検討している。さらに食事に合わせ酒類を提供する居酒屋なども例外とする案があり、規制案はずるずる後退している。

     もともと日本は04年に、飲食店を含む屋内施設を完全禁煙にすることを含むWHOの「たばこ規制枠組み条約」を批准している。

     肺がん、心疾患、乳幼児突然死症候群などと受動喫煙との因果関係を裏付ける医学論文は多数あり、厚労省研究班は「日本では年間1万5000人が受動喫煙で死亡している」との推計値を昨年発表した。

     厚労省の「国民健康・栄養調査」(15年)によると、受動喫煙にさらされる機会は職場や遊技場を抑えて、飲食店が最も多かった。喫煙席と禁煙席を分けていても、壁や換気設備によって煙の移動を防止していない店が少なくない。

     五輪開催国にふさわしい受動喫煙対策が必要だ。

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