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しあわせのトンボ

歌なくしては寂しすぎる=近藤勝重

 昭和歌謡を耳にするつど思い出す街がある。東京は板橋区某町の商店街だ。学生運動から離れたのと同時に、その裏通りのアパートに移り住んだ。商店街は映画館やパチンコ店もあれば、魚や野菜を並べたマーケットもあって、終日人通りが絶えなかった。

 ぼくはその一角の洋品店で月賦の代金を払ってもらう集金のアルバイトをしていた。客には池袋のキャバレーなどで働くお姉さんが多かった。自転車で訪ね、モルタルアパートの鉄の階段を上り、部屋の前で店名を名乗る。とりあえず部屋着をまとったという感じの女性が「どなた?」とか、「何よー」などと言いながらドアを開け、こちらをうかがう。用向きを告げた途端、「今度にして」とドアを閉められるのがほとんどで、いいかげん気がめいるバイトだった。

 そんなぼくの心を潤してくれたのが商店街に流れる流行歌で、その頃は店先でつけっ放しのラジオからの歌声…

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