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社説

仏大統領選 不安拭えぬ極右の勢い

 フランス大統領選の立候補受け付けが始まった。有力候補は3人に絞られてきたが、その中で反欧州連合(EU)・反移民を掲げる極右・国民戦線党首のマリーヌ・ルペン候補の勢いが止まらない。

     最新の世論調査でもルペン氏の支持率は26%で首位を保っている。4月23日の第1回投票で当選に必要な過半数の得票は難しそうだが、上位2候補による5月7日の決選投票に進むのは確実視されている。

     中道・右派候補のフィヨン元首相と、社会党出身で独立系候補のマクロン前経済相が、支持率20%前後で2位を争う。

     これまでは、どちらが勝ち上がっても決選投票になればルペン氏は敗れるとの見方が強かったが、その差はじわじわと縮まっている。ルペン氏の勢いを侮ることはできない。

     懸念される点は二つある。

     一つはルペン氏が米国のトランプ大統領と「自国第一主義」で共鳴し合っていることだ。

     ルペン氏は、自国通貨の復活、EU離脱を問う国民投票の実施、移民の受け入れ制限などを公約に掲げている。2月初めの決起集会では「グローバル化を支持する勢力に対する愛国主義者の戦い」を宣言し、「自国第一」を訴えて当選したトランプ氏を祝福した。

     トランプ氏もまたEUがドイツの経済力を支える道具にすぎないと批判し、ルペン氏の当選でEUが解体に向かうよう促している。米仏が国際社会の分断に向けて手を組むような事態は看過できない。

     もう一つの懸念材料は、ルペン氏がロシアのプーチン政権に極めて融和的な姿勢を取っていることだ。

     ルペン氏率いる国民戦線はロシアから資金援助を受けていることが知られている。ウクライナ問題をめぐる対露制裁で欧州は結束してきた。それがロシアに厳しいドイツと、親露のフランスとに分断されることになれば、ロシアにとっては「取引」がしやすくなる。

     オランド大統領は、米国同様にフランスでもロシアによる選挙戦への介入に警戒が必要だとして、対応策を指示している。

     ルペン氏が当選すれば、影響は今秋に総選挙を控えるドイツに波及するだろう。

     フランスは、ドイツとともに戦後欧州の統合を支えてきたEUの中核だ。そのフランスがEU離脱へ踏み出すことになれば、ドイツだけではEUを支えきれず、欧州の秩序は不安定化する。その衝撃は、英国のEU離脱の比ではない。

     ドイツをはじめ、欧州各地で台頭する反EU・反移民の極右勢力をさらに勢いづかせることにもなるだろう。不安は拭えない。

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