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抗NMDA受容体脳炎

8年越しの花嫁・もう一つの物語(1)いちるの望みの「悪魔払い」

 自己免疫性脳炎「抗NMDA受容体脳炎」は、体内で生じた抗体が脳を攻撃し、精神症状が表れたり昏睡(こんすい)状態に陥ったりする病だ。岡山県和気町に住む中原麻衣さん(当時24歳)は2006年暮れ、挙式を翌春に控えて突然この病気に襲われた。2歳上の婚約者、尚志(ひさし)さんや家族の献身的な看病によって麻衣さんは病を克服し、8年後に尚志さんと約束通り挙式した。夫婦が連名で著した闘病記「8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら」(主婦の友社)が話題となり、人気俳優の佐藤健さん、土屋太鳳さんのダブル主演による映画化も決定。結婚式の様子を撮影した動画「8年越しの結婚式」はユーチューブ(https://www.youtube.com/watch?v=vlh5aewBI2w)で100万回以上再生された。実は、抗NMDA受容体脳炎の仕組みが解明されたのは、麻衣さんが発症した直後。病気の成り立ちから診断技術の向上、治療法が確立するまでの過程を、麻衣さんは身をもって体験した。戸惑いながらも回復を信じて取り組んだ、家族と医療スタッフによる「もう一つの物語」を報告する。【照山哲史/デジタル報道センター】

 「怖い、死にたくない。死ぬのはわかっている」「今日のことは何も覚えていない。記憶が全然ない」。寝ている間に奇声を発したり、急に泣き出したりするなど、この脳炎の初期にみられる精神症状や記憶障害が麻衣さんに出たのは2006年12月30日から大みそかにかけてだった。

 興奮状態になった麻衣さんは1月3日、県立岡山病院(現岡山県精神医療センター)の精神科に入院。ところが2日後、突然心肺停止状態となり、岡山大病院に搬送される。幸い発見が早く一命は取りとめたが、自発呼吸がなくなり昏睡状態に陥った。ここから1年半、麻衣さんは集中治療室(ICU)で過ごす。意識が戻らないまま、強いけいれんや、手足をばたつかせる不随意運動を繰り返す麻衣さんを、家族や尚志さんは見守るしかなか…

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