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第94回センバツ高校野球

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第89回選抜高校野球

中村の前エース・渡辺大晴さん 全員野球、後輩に託す 夢舞台に向け練習サポート /高知

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後輩たちの練習を見守る渡辺大晴さん=高知県四万十市中村丸の内の中村グラウンドで、岩間理紀撮影 拡大
後輩たちの練習を見守る渡辺大晴さん=高知県四万十市中村丸の内の中村グラウンドで、岩間理紀撮影

 <センバツ2017>

 19日開幕のセンバツに出場する中村。選手たちが練習に励む夕闇の迫る同校グラウンドで、1人の投手が「バシンッ」と鋭い音を響かせて後輩たちに黙々と球を放り込む。「チームにとってこれ以上の練習はない」。横山真哉監督が見つめる先にいるのは、昨夏のチームの背番号「1」。この春に卒業した渡辺大晴さん(18)だ。

 センバツ出場が決まってから、日々チームの練習に付き合っている。打撃投手やノックの補助、トンボがけにまで参加し、山本泰道部長は「存在はとてつもなく大きいです。大晴がいなければ、チームは紅白戦なんてできない」。春の舞台に挑む準備を整えるチームにとって、欠かすことのできない戦力になっている。

 昨夏の高知大会で計400球以上を投げ抜いた。決勝の明徳義塾戦でも自身の投球を貫いたが、最後に力尽きた。「悔しかった。夏に負けたことを引きずって、しばらく野球を見たくないぐらいに」。心の整理が付かず、後輩たちが出場する秋季県予選も観戦することはできなかったと明かす。

 センバツ出場が決まり、横山監督から「練習に参加してくれないか」と持ちかけられた時も、葛藤はあった。「大人になりきれない自分がいた。でも、僕たちを最後までサポートしてくれたのは後輩たち」。家族も苦悩する渡辺さんの背中を押し、再び白球を握りグラウンドへ向かった。

 新チームになり、悲願の甲子園出場をつかみ取った中村野球部。その原動力になったのが、卒業した「3年生」の存在だ。現役部員たちは口をそろえる。「去年の夏、先輩たちが本気で取り組み、甲子園まであと一歩までたどり着けた。全力で取り組めば夢に手を伸ばせることを見せてくれた」

 渡辺さんは卒業後、「中村の選手がけがをした時、いつでもいけるように」と理学療法士を目指す。センバツでもチームに同行し、練習などを補助する予定だ。

 渡辺さんは夢の舞台で戦う後輩たちに向けて「全員で野球をやること」を大切にしてほしいと話す。「『一人一人が主役』という中村のチームカラーを達成するには全員野球しかない。地域で応援してくれている人がいるから野球ができることを受け止め、甲子園を楽しんでほしい」【岩間理紀】

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