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石原氏記者会見 結局は責任逃れなのか

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 豊洲市場(東京都江東区)への移転をめぐる疑問に正面から答えたとは言えないだろう。

 石原慎太郎元東京都知事が日本記者クラブで記者会見した。

 会見は石原氏の希望で行われた。石原氏は先月、「逃げているとか、隠れているとかの屈辱を晴らしたい」「言うべきことを言う」と述べ、弁明の機会を求めたのだ。

 石原氏としては、豊洲市場をめぐる混迷は石原都政に根ざしているとして攻勢を強める小池百合子知事に反論したかったのだろう。

 石原氏は、豊洲市場への移転を決めたことについて「裁可した責任はある」と認めたが、一連の問題は都議会を含めた都庁全体で決めてきたことだと強調した。

 こまかな対応を問われると「いちいち報告を受けていない」と繰り返した。これでは責任逃れと受け取られても仕方ない。

 経緯を押さえておきたい。

 石原氏が知事に就任したのは1999年だ。東京ガスの工場跡地だった豊洲が市場の移転先候補に挙がっており、長く石原氏の秘書を務めていた浜渦(はまうず)武生副知事が2000年に東京ガスとの交渉役となった。

 01年1月、豊洲市場用地の土壌から環境基準の1500倍のベンゼンが検出されたが、都はその年の末、豊洲への移転を正式決定した。

 さらに08年には基準値の4万3000倍のベンゼンが検出されたが、都は移転の契約を結んだ。

 なぜ、高濃度のベンゼンなどが検出された豊洲への移転が決められたのか。石原氏は「豊洲移転は知事就任時、既定路線だった」との従来の主張を繰り返すにとどまった。

 会見で最も焦点になったのは、11年3月に都と東京ガスが結んだ土地の売買契約と土壌汚染対策の費用負担に関する協定書の妥当性だ。

 東京ガスの負担は586億円のうち78億円のみで、それ以上の責任を負わない「瑕疵(かし)担保責任の放棄」が明記されたからだ。最終的に都の土壌汚染対策費は約860億円にまでふくれあがった。

 この点について石原氏は、浜渦氏に任せていたとし、報告は受けていないと述べた。主要な建物下の盛り土がされなかった問題も、具体的に判断した記憶はないという。

 専門家や行政各部署の責任者の判断を尊重してきたというが、結局は丸投げだ。これが行政手腕を誇ってきた石原氏のセリフなのか。

 石原氏は20日、東京都議会が設置した調査特別委員会(百条委員会)で証人として喚問される。浜渦氏も喚問予定だ。関係者が委員会に出席し、真摯(しんし)に対応することが、豊洲移転問題の解明には欠かせない。

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