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余録

「自分でもつらいのよ…

 「自分でもつらいのよ。どうせこの先長くないのに。まだ生きていてごめんなさい」。どこか疎まれている空気を同居の家族から感じるまり子さん。若いころは人気作家だったが、最近は物忘れが多くなり、編集者からも仕事を減らすと言われた▲コミック誌「BE・LOVE」に連載されている「傘寿まり子」は80歳で家出をする女性が主人公の漫画だ。ホテルに泊まり続けるわけにもいかず、単身高齢者にアパートは貸してもらえない。ネットカフェを見つけて転がり込んだ。「気楽だけど寂しい。寂しいけど気楽。こんな自由もあったのね」▲当初はあまり反響もなかったが、ビジネスマン向けのサイトで紹介されてから一気に注目されるようになった。作者のおざわゆきさんには名古屋空襲やシベリア抑留をテーマにした作品もある▲「社会派の漫画がはやっているのではなく、成熟した読者が多くなり、こういう作品も読まれるようになったのだと思う」。30~40代の女性が主な読者層である同誌の編集者は語る▲都市部の高齢者は急増している。お金や身寄りのない人も多い。ホームレスの平均年齢は59・3歳、70歳以上が全体の12・5%を占めるという厚生労働省の全国調査がある。まり子さんは決してひとごとではない。長い老後をどう生きるかを悩み考えている人は多い▲飼い主を失った野良猫を抱きしめてまり子さんは言う。「残りの人生って何? おまけのような人生を生きる人なんていない。悲しい時は悲しい。つらい時はつらい。幸せな時は幸せ。死ぬ瞬間まで真剣勝負じゃないの。あなたもここに立ってみればわかる」

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