連載

時代の風

各界の文化人が、それぞれの視点で混迷する時代を読み解きます。

連載一覧

時代の風

蔓延する排外思想=藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
藻谷浩介氏=西本勝撮影
藻谷浩介氏=西本勝撮影

権威主義が育む不正

 「他人に権威主義的な道徳を説きながら、自分はお金に汚く権力を振りかざす、そういうやからがいるのはどうしてだろう」。筆者が最初にこういう疑問を抱いたのは、今考えればマセた話ではあるが、小学校高学年当時だった。もちろんその頃は、もっと子供っぽい言葉で考えていたのだが。そして高校を卒業する頃には、答えにも気づいていた。「権威主義者にも、清貧で謙虚な人は普通にいる。だが、もともとお金や権力に汚いタイプが、ご都合主義で権威主義者になるケースも多い」と。自分が権威側に立ちつつ、他人に権威主義的道徳を押し付けることは、自己の蓄財や権力行使に有利だからだ。

 西欧であればキリスト教が、中国では儒教が、その思想の本来の純粋さとは無関係に、多年にわたって蓄財や権力拡大に利用されてきた。近世以降にはそこに、マルクス主義や「国民国家の権威」が加わる。先の大戦も「天皇の権威に由来する不可侵の統帥権」を掲げ国家を掌握した日本軍部の、天皇自身の意向とは逆方向への暴走だった。それに懲りて、戦後の法治国家体制が構築されたのである。

この記事は有料記事です。

残り1330文字(全文1794文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集