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『明治維新を読みなおす 同時代の視点から』=青山忠正・著

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 (清文堂出版・1836円)

 犬猿の仲だった薩長を結び付け、討幕の流れを決定付けた立役者。坂本龍馬に対する大方のイメージだろうが、著者はそれに対し「半分くらいは物語」と疑問を呈する。なぜならば薩長盟約にある「周旋尽力」や「決戦」の言葉は毛利家当主親子の官位停止(かんいちょうじ)を解くためのものであり、盟約に後世の人びとが抱く「武力討幕軍事同盟」の評価を下すのはどう考えても無理があるからだという。

 こうした誤解が生じるのは同時代人なら改めて断る必要のない大前提が(当然ながら)史料には書かれておらず、現代人がその常識を共有していないせいだ。たとえば武家の官位などただのステータスに過ぎず、大した問題ではないと我々は考えるが、官位を失えば「公的な政治というシステム」に参加できなくなり、現代なら「システムにログインするためのアカウントとパスワード」を失うことと同じだと著者はいう。

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