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東日本大震災6年

指定避難所16%、浸水域に 沿岸部12市町 未耐震化施設も多く /香川

防災マップを広げ、対策について話し合う高松市の木太地区自主防災連合会のメンバー=岩崎邦宏撮影

 南海トラフ地震による津波で浸水の恐れがある県内沿岸部の12市町で、被災した人が避難生活を送る「指定避難所」554カ所のうち約16%に当たる86カ所が浸水域内にあることが、毎日新聞の調査で分かった。山間部を含む全17市町でみると、指定避難所682カ所の約11%が耐震化されていないことも判明。東日本大震災の発生から11日で6年。大規模災害の際、県内の避難所が使えなくなる恐れが明らかになった。【岩崎邦宏】

     指定避難所は、災害時に被災者が寝泊まりや食事をする場所。国は2013年、東日本大震災を教訓に災害対策基本法を改正し、指定を市町村に義務付けた。一方、昨年4月の熊本地震では壁が落ちるなどして閉鎖した指定避難所もあり、安全性の確保が課題となっている。

     毎日新聞は2月、県が公表している南海トラフ地震の被害想定(最大クラス)に基づき、全17市町にアンケートした。津波の浸水域内にあったり、耐震性を満たしていなかったりする指定避難所の状況を聞いた。

     その結果、津波被害が想定される沿岸部の12市町では、東かがわ市と宇多津町を除く10市町、計86カ所の指定避難所が津波の浸水域内にあった。最多は高松市の25カ所。丸亀市14カ所▽坂出、観音寺両市が各10カ所--が続いた。理由としては、津波だけを想定した避難所ではないことや浸水域内であっても高層階の避難所を指定している--などの回答があった。

     浸水域内にある指定避難所について、坂出、観音寺両市などは今後も指定を続けるという。これに対し、「他の場所を選定するなど住民と協議して対応を図る」(高松市危機管理課)、「谷あいに集落が点在している地形上、代替施設の選定が難しい」(小豆島町総務課)との意見もあった。

     指定避難所が浸水して使えなくなった場合、その地域の住民が代わりに身を寄せる避難所を事前に決めているのは10市町のうち土庄、直島両町だけだった。他の自治体は、「どの避難所が被害に遭うか不明。被害状況や避難者数を把握後、移動を計画している」(三豊市危機管理課)などと状況に応じて対応する考えを示した。

     一方、全17市町の指定避難所682カ所のうち耐震基準を満たしていないのは、観音寺市20カ所▽丸亀市17カ所▽多度津町12カ所--など9市町の計72カ所だった。理由は、民間施設であることや、公共施設であっても財源の理由で耐震化が進まないことなどを挙げた。

     耐震化されていない指定避難所については「原則として地震の際は開設しない」(丸亀市危機管理課)、「指定解除も含めて検討する」(多度津町総務課)などと説明した。

    住民ら自主的に対策 高松

     津波で浸水する恐れのある指定避難所が県内最多の25カ所に上った高松市。沿岸部に近く河川に挟まれた木太町では、指定避難所7カ所のうち4カ所が浸水域内にある。地元住民らは避難所が一目で分かる防災マップを作るなどの対策を進めている。

     木太地区自主防災連合会は、高松市内でも2人が死亡、1万5000戸以上が浸水する被害が出た台風による高潮(2004年)を受け、防災対策を本格化させた。13年2月に全戸配布を始めた防災マップには、木太町内の津波浸水域や避難所、防災倉庫を記載。避難経路や海抜も記した。マップは住民らが実際に地域を歩き、1年以上かけて作った。

     災害時には災害対策本部を置き、町内13地区の代表者が集まって、使用可能な避難所を報告してもらう。その上で避難所が浸水して使えなくなった地区の住民をどの避難所に移動させるかを検討することにしている。

     毎年の防災訓練では、避難所への救援物資の配布や炊き出しも実践する。木太地区自主防災連合会の上枝秀則副会長(66)は「行政をあてにして待つのではなく、できることをやっていく。忘れた頃に災害は来る」と話す。


     ■視点

    想定外の事態招く

     南海トラフ地震が起きた時、県内沿岸部の指定避難所の一部で使えない恐れがある。具体的な対策を取っている自治体はほとんどなく、備えは急務だ。

     昨年4月の熊本地震では、発生直後に応援取材に入った。熊本県益城町の体育館には、お年寄りが毛布にくるまって廊下で横になるほど多くの人が集まり、自衛隊による炊き出しには長蛇の列ができていた。

     そうした避難所を開設できなかったらどうなるか。住民はどこに行けば良いか分からず、救援物資など十分な支援を受けられない恐れもある。最悪の場合、大規模災害の度に繰り返されてきた関連死の発生も懸念される。

     太平洋側に比べ南海トラフ地震の被害が小さいとされる香川。対策が進まない背景に災害への意識の低さがあるのなら、想定外の事態を招きかねない。【岩崎邦宏】


    県内自治体の指定避難所の状況◇

          指定避難所数 浸水域内 未耐震化

    高松★    151    25    0

    丸亀★     94    14   17

    坂出★     26    10    0

    善通寺     26     0    1

    観音寺★    92    10   20

    さぬき★    11     1    0

    東かがわ★   35     0    3

    三豊★     75     6    9

    土庄★     18     8    0

    小豆島★    15     4    0

    三木      29     0    0

    直島★     12     3    4

    宇多津★     5     0    0

    綾川      22     0    2

    琴平      20     0    0

    多度津★    20     5   12

    まんのう    31     0    4

    計      682    86   72

    沿岸計    554    86   65

     ※各自治体への取材に基づく。★は沿岸の12市町。

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