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東京・春・音楽祭2017

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東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.8 4年間の集大成「ニーベルングの指環」完結

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マレク・ヤノフスキ=写真提供:東京・春・音楽祭実行委員会 (C)Felix Broede 拡大
マレク・ヤノフスキ=写真提供:東京・春・音楽祭実行委員会 (C)Felix Broede

【ワーグナー:「ニーベルングの指環」ツィクルス最終回「神々の黄昏」】

 毎春、桜満開の東京・上野を舞台に開かれる「東京・春・音楽祭」は、東京文化会館や上野学園 石橋メモリアルホールのほか、美術館、博物館をも巻き込んで繰り広げられるクラシック音楽の祭典である。今年は3月16日から4月16日までの1カ月間行われる。

 今回の目玉もやはり、名匠マレク・ヤノフスキ指揮NHK交響楽団によるワーグナーの「神々の黄昏」(演奏会形式)だろう。2014年よりヤノフスキとNHK交響楽団は同音楽祭のメイン企画となる「東京春祭ワーグナー・シリーズ」として「ニーベルングの指環(リング)」に取り組んできた。序夜と3晩からなるこの4部作を順に「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」と1年につき1作品上演し、ついに今年は最終公演の第3日「神々の黄昏」で完結するのである(4月1、4日 東京文化会館)。

ヤノフスキとオペラ

 1990年代半ば以降、歌劇場のオーケストラ・ピットに入ってのオペラ指揮を自ら避けてきたヤノフスキだが、2016年の夏はバイロイト音楽祭、秋のウィーン国立歌劇場の来日公演では、“特別”としてオーケストラ・ピットでのオペラ公演を引き受けている。筆者は昨年8月、バイロイト音楽祭での「ニーベルングの指環」(第2ツィクルス)で、「ジークフリート」と「神々の黄昏」を聴いているが、いずれもヤノフスキは聴衆から喝采を浴びていた。歌劇場でのオペラ指揮を離れているとはいえ、歌手への配慮、歌と管弦楽のアンサンブルなど熟練の技術をもって、洗練された見事なワーグナー音楽を作りあげていた。カーテンコールで歌手に手を取られ、にこやかにほほ笑んで客席にあいさつをする名匠の姿が、今回の「神々の黄昏」への期待を膨らませるものになったことは言うまでもない。

30年間の絆

 ヤノフスキとNHK交響楽団の関係は1980年代から続いており、今のNHK交響楽団についてヤノフスキは「30年前よりずっとクオリティーが高い」と語っている。さらに自身が関わってきたオーケストラの中でも最高のレベルだと、信頼を寄せているようだ。今回も「リング・ツィクルス」のスタート以来、ゲストコンサートマスターを務めてきたライナー・キュッヒル(前ウィーン・フィル第1コンサートマスター)が出演するのも注目される。

 ヤノフスキが歌劇場を離れた理由は、近年のオペラ演出の問題にあるが、この演奏会形式で映像を背景に映す演出については、とても良いと思っているとのこと。歌手陣には “ワーグナー歌い”でも有名なヘルデン・テノール、ロバート・ディーン・スミスもジークフリート役で登場するから楽しみだ。ほかにアイン・アンガー(ハーゲン)、トマス・コニエチュニー(アルベリヒ)、クリスティアーネ・リボール(ブリュンヒルデ)、エリーザベト・クールマン(ヴァルトラウテ)らバイロイト音楽祭やウィーン国立歌劇場などで活躍する実力派が顔をそろえる。4年間の集大成は聴き逃せない。

(小港優里)

公演日時とプログラム

【東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.8 「ニーベルングの指環」第3日「神々の黄昏」(演奏会形式/日本語字幕・映像付き)】

4月1日(土)15:00/4日(火)15:00 東京文化会館 大ホール

 

ワーグナー:「ニーベルングの指環」 第3日 楽劇「神々の黄昏」

(序幕と全3幕/ドイツ語上演日本語字幕・映像付き)

 

指揮:マレク・ヤノフスキ

ジークフリート:ロバート・ディーン・スミス

グンター:マルクス・アイヒェ

ハーゲン:アイン・アンガー

アルベリヒ:トマス・コニエチュニー

ブリュンヒルデ:クリスティアーネ・リボール

グートルーネ:レジーネ・ハングラー

ヴァルトラウテ:エリーザベト・クールマン

第1のノルン:金子美香

第2のノルン: 秋本悠希

第3のノルン:藤谷佳奈枝

ヴォークリンデ:小川里美

ヴェルグンデ:秋本悠希

フロースヒルデ:金子美香

合唱指揮:トーマス・ラング、宮松重紀

音楽コーチ:トーマス・ラウスマン

映像:田尾下哲

合唱:東京オペラシンガーズ

管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ライナー・キュッヒル)

 

チケット:S席21600円、 A席17500円、B席13400円、C席10300円、D席7200円、E席4100円、U25=2000円※公式サイトのみでの取り扱い

問い合わせ:東京・春・音楽祭03・3322・9966

筆者プロフィル

 小港優里(こみなと・ゆり) 東京芸術大学大学院音楽研究科修士課程修了。20世紀以降のオーケストラを研究している。現在一般企業に勤める傍ら、クラシック音楽の取材活動や、子どもたちを対象にした音楽指導やレクチャーなどを行っている。

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