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描かれた鉄路

今回の作品 大岡昇平『武蔵野夫人』 西武多摩湖線(東京都) 村山貯水池と不倫の前途

 仏文学者と結婚した貞淑な道子と、学徒兵で出征したビルマから復員したばかりの年下のいとこ・勉。2人の道ならぬ恋を描き、ベストセラー小説となった「武蔵野夫人」。物語は1945年の敗戦から2年の47年6月、実家の家屋を相続した道子が夫と暮らす「はけ」を、勉が訪ねるところから急展開する。

 「はけ」は国分寺崖線(がいせん)の通称。東京・多摩地区を東西に流れる野川の北側の斜面で、15~20メートルの高低差がある。わき水が野川に注ぎ、武蔵野の水と緑の豊かさを今も感じられる。そんな豊かな自然に囲まれたはけの家を、勉は懐かしさと癒やされる思いで訪ねる。それが道子への思いへと収れんしていく。2人ではけを散策し、道子も自分の思いに気づく。道子の夫・秋山と隣家の妻・富子があいびきをする間に、道子と勉は村山貯水池(東京都東大和市、通称多摩湖)に向け、国分寺駅(同国分寺市)から西武鉄道多摩湖線に乗る。

 大岡が本作を発表したのは50年。その2年前、48年1月から11月までの間、大岡ははけで暮らした。美…

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