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高橋一清・あの日あの人/91 藤原審爾 風景描写、叙情性ゆたかに /島根

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 昭和42(1967)年4月。新入社員の私にも、編集者として担当する作家が与えられた。その中に、私の会いたい作家のひとり、藤原審爾さんがあった。学生のころ映画「秋津温泉」を観た。戦争を挟んで温泉旅館の若女将と青年の恋愛を描いていていた。日をおかず、原作の藤原さんの文壇デビュー作を読み、中国山地の四季の風景描写と、叙情性ゆたかな物語を堪能した。

 初対面の日の私は「秋津温泉」への思いを語った。しかし、藤原さんは詰まらなさそうだった。そして、「また来いや」と送り出されたのだった。それでも、藤原さんと話していると、親元に帰ったようで、心が和んだ。言葉には出身地の岡山の訛(なま)りがあり、私の故郷益田の言葉に似ていた。

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