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第103回全国高校野球選手権

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春に挑む

帝京第五48年ぶりセンバツ 小林昭則監督の軌跡/下 人としての道伝え /愛媛

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笑顔で甲子園へ出発する帝京第五の小林昭則監督=愛媛県大洲市新谷で、木島諒子撮影 拡大
笑顔で甲子園へ出発する帝京第五の小林昭則監督=愛媛県大洲市新谷で、木島諒子撮影

 <第89回選抜高校野球>

 帝京第五野球部の監督になろうと決めたものの、初めての単身赴任となる。だが家族に相談すると「もう50歳になる。これがラストチャンス。頑張ってきて」と快く背中を押してくれた。「やるからにはできるだけ早く甲子園に」と意気込み、東京から遠く離れた愛媛に飛び込んだ。

 4月に入って部員たちと対面した。「高校球児なら甲子園を目指すのは当たり前」。戸惑った様子ながらも部員たちは真剣な顔で「はい」と答えた。練習では指導の一言一言を素直に聞き入れてくれた。「こう投げればいい」「こういうふうにバットを振るんだ」。指導に飢えているように思えた。

 ただ、部員たちのマナーの悪さは気になった。「授業中に寝たり、態度が悪い。何とかして」という教員の声も聞いた。「野球以外の生活をきちんとすること」。部員たちには繰り返しそう伝えた。

 寮の食事はそろってとることに。それまでばらばらで、好き嫌いが激しい部員も多く、食堂で出る料理を残して自室でインスタントラーメンを食べる部員もいた。体つきも「ひょろっとしていた」が、大きなどんぶり2杯のごはんを食べることを徹底させると、部員の体格もよくなった。

 もちろん、野球の技術では一人一人の欠点を丁寧に直す。タブレット端末で打撃フォームを撮影し、部員と確認する。「ちゃんと球を見ろ!」。プレーに対して厳しい目で徹底した指導をすることを心掛けている。強くなるためだ。

 それでも自身の野球人生の経験に照らし、人として大切なことを重視する。「野球でプロになったっていつまでもできるわけじゃない。まずは社会で通用する人になれ」

 甲子園、大学野球、プロ野球選手、そして教師。そうした経験があったからこそ、伝えられることは多い。監督として初めて臨む甲子園。帝京第五にとっては48年ぶりのセンバツ。勝利への思いを胸に、現役時代と変わらない笑顔で新たな一歩に挑む。【木島諒子】

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