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ニッポンへの発言

キーワード 村上春樹と又吉直樹=中森明夫

 村上春樹と又吉直樹--現在、我が国でミリオンセラーとなる純文学作家は、この二人だけだろう。先ごろ、共に新作小説を発表した。並べて評してみたい。

 村上春樹の『騎士団長殺し』は全2巻、1000ページ強の大長編で初回配本130万部! ボージョレ・ヌーボーさながらの発売日カウントダウンがニュースにもなった。妻に離縁された30代半ばの肖像画家の物語だ。山中の一軒家に移り住み、高名な日本画家の未発表作品「騎士団長殺し」を屋根裏で発見したことから異界へと誘(いざな)われる。別れた妻・奇妙な(名前の)知人・謎の美少女・異形の(メタファー的)キャラ・穴を潜る地下世界の冒険……とラーメンで言えば(村上春樹)具材「全部入り」の満腹感だ。文章は洗練されて読みやすく、音楽・美術・料理・車・ファッション等の知見が披露され、南京大虐殺やナチス等の歴史が絡む。ジブリ映画的なクライマックスを盛り上げる。

 村上春樹は文壇やマスメディアと距離を置き、小説執筆に専念して、数年に一度の長編作品を発表し多大な読者を獲得、今やノーベル文学賞候補とも言われる世界的評価を確立した。作家としての姿勢には敬服する。その上で近年の作品にはどうにも首を傾(かし)げざるをえない。今作でも冒頭17ページで主人公はなんと人妻2人と不倫。「彼女たちと肉体関係を持つことは、道路でたまたますれ違った人に時刻を尋ねるのと同じくらい普…

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