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内田康夫さん

「世に眠る才能を後押し…」完結編に期待

内田康夫さん=2014年10月31日、内藤麻里子撮影

《内田康夫氏から皆様へメッセージ》

     2015年夏、僕は脳梗塞に倒れて、左半身にマヒが残りました。以降リハビリに励みましたが思うようにはいかず、現在のところ小説を書き続けることが難しくなりました。そこで思いついたのが、未だ世に出られずにいる才能ある方に完結させてもらうということでした。

     思えば僕が作家デビューしたのも、思いがけないきっかけでした。1980年、当時の仕事の営業用に自費出版した『死者の木霊』が、ひょんなことで評論家の目に止まったのでした。そういうこともあり、世に眠っている才能の後押しができれば……と。

     うれしいことに毎日新聞出版、毎日新聞社、講談社、内田康夫財団が<『孤道』完結プロジェクト>を立ち上げてくれました。

     僕が休筆すると聞いて、浅見光彦は「これで軽井沢のセンセに、あることないことを書かれなくてすむ」と思うことでしょう。でも、どなたかが僕の代わりに、浅見を事件の終息へと導いてください。

     そして、小説の筆を休ませはしますが、短歌という凝縮した世界でならまた創作ができるのではないかと思い至りました。もともと短歌は好きで『歌枕かるいざわ--軽井沢百首百景』(02年)という拙著もあります。カミさんにも助けてもらいながら、しばらくは短歌を詠むことで復活を目指します。“リハビリ短歌”とでもいうのでしょうか。まずは療養のつれづれに詠んだものから二首……。

    思えども思い通りにいかぬ腕 なぜこのやまいなぜこのやまい

    ぼくはまだ生きているのに心電図(死んでんず) 折れ線グラフの今は谷底

     今後、講談社文庫サイト内の「内田康夫と早坂真紀の夫婦短歌」http://www.fufutanka.jpで発表していきます。そちらもご覧くださるとうれしいです。

     いつの日か『孤道』が完結して世に送り出されんことを夢見ながらご挨拶とさせていただきます。

                      (単行本のあとがきより一部抜粋)

    「完結編を書けないことが、返す返すも残念ですが、後続の英才に期待します。」

    (「孤道」完結プロジェクト発表にあたってのコメント)

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