連載

近影遠影

毎日新聞デジタルの「近影遠影」ページです。最新のニュース、記事をまとめています。

連載一覧

近影遠影

高橋一清・あの日あの人/92 深沢七郎 おおらかな温かさ /島根

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 深沢七郎さんが、私に会いたいとおっしゃっていると、受付から連絡があった。昭和55(1980)年の秋のことである。文藝春秋の出版部員との用を済ませ、改めて受付を通しての面会申し入れだった。中央公論の新人賞で三島由紀夫、武田泰淳、伊藤整の3選考委員が激賞した「楢山節考(ならやまぶしこう)」の筆者は受賞後も問題作を発表し、その年の春には「川端康成賞」の受賞を断って物議を醸していた。その方が私に何の用だろう。

 開口一番、「霜田先生をよろしく」とおっしゃった。霜田先生とは、信州の佐久総合病院に勤務するかたわら、小説を書いている南木(なぎ)佳士(けいし)さんのことである。深沢さんは心臓疾患のため、ときどきこの病院に入院されていて、南木さんに会っておられたのである。

この記事は有料記事です。

残り969文字(全文1300文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集