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シネマの週末

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シネマの週末・この1本

未来よ こんにちは 自分らしい「生」とは

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 フランスでは、哲学と芸術が人々の生活の一部として結びついている。そんなフランス文化の豊穣(ほうじょう)を詰め込んだような映画である。哲学や映画を通じて、どう生き、老いや死をどう受け止めるかを考える。

 パリの高校で哲学を教えるナタリー(イザベル・ユペール)は、同じ哲学教師の夫ハインツ(アンドレ・マルコン)と2人の子と暮らす。1人暮らしの母(エディット・スコブ)は認知症が進み、その介護にも追われる。ある日、ハインツが「好きな人ができた」と告白し、家を出てしまう。傷ついたナタリーは才能豊かな教え子ファビアン(ロマン・コリンカ)がアナーキストたちと暮らす、アルプスに近い山荘を訪れる。

 ナタリーに降りかかる母の病気、夫の裏切り、仕事の行き詰まり、そして、教え子から突き付けられる残酷な時の流れ。年齢を重ねるにつれ、周りから人がいなくなり、積み重ねてきた思考が時代と合わなくなっていく。名女優ユペールは、それらの出来事にも矜持(きょうじ)を失わない女性としてナタリーを演じる。

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