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社説

英国会前事件 単独テロを防ぐ難しさ

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 非道なテロがまた欧州で繰り返された。事件が起きたのは、英国の中枢とも言える首都ロンドンの国会議事堂の目の前だった。

     少なくとも3人の命を奪い、約30人を負傷させた容疑者の男が使った「凶器」は、車とナイフだった。爆弾などと違って誰でも簡単に入手できる。こうした身近な道具がテロの手段になることに戦慄(せんりつ)する。

     警察は「国際テロ組織に感化された」犯行とみて、イスラム過激派組織との関連を調べている。イスラム過激派組織はネット上で、車やナイフなど身近な道具を使ったテロをあおっており、その影響があったとすれば恐ろしいことだ。

     違法な武器の入手や製造は摘発できるが、車の運転は阻止できない。「ローンウルフ(一匹オオカミ)」と呼ばれる単独犯は、組織的な犯行とは違って、取り締まりや予防がきわめて難しい。過激化した個人の犯罪をどう防ぐかは、重い課題として残る。

     欧州では一昨年の11月にパリで、ちょうど1年前にはベルギーの首都ブリュッセルで、いずれも爆弾や銃を使った組織的テロ事件があった。

     だがその後、取り締まり強化のためか組織的なテロは起きていない。代わって出てきたのが、一人で車を運転して群衆に突っ込む事件だ。

     昨年7月、フランス南部ニースで花火見物をしていた市民にトラックが突っ込んだ。12月にはドイツの首都ベルリンで、クリスマス市にトラックが突入して市民を殺傷した。今回も実行犯は一人だったようだ。

     事件の容疑者が、報道されているようにイスラム教徒の南アジア系住民だったとすれば、少数派排斥の風潮を助長する可能性もある。

     英国では、欧州連合(EU)からの離脱を決めた国民投票の後、移民への暴力などヘイトクライム(憎悪犯罪)が目立つようになった。テロ事件の影響が懸念される。

     今回のテロを受けて、独仏首脳が哀悼の声明を出すなど国際的な連帯の声が寄せられたことは心強い。トランプ米大統領も、メイ英首相にテロ対策での「全面的な協力と支援」を呼びかけたという。

     だが、米英の協調では気がかりなこともある。

     トランプ政権はテロ対策として、イスラム系の中東・北アフリカ6カ国から米国に向かう航空機を対象に、パソコンやタブレット端末などの機内持ち込みを禁止した。

     米国との「特別な関係」を自任する英国は、これに同調したばかりだった。

     「反イスラム」と受け止められ、報復テロの口実にされた可能性はないのか。事件の動機や背景の解明が待たれる。

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