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目撃証言でっちあげ、LINEで浮上

法廷で「スマホ見せて」で発覚

 スナックを経営する中国人女性(57)を殴ったとして暴行罪に問われた中国人の元女性従業員(52)に、東京地裁(三上孝浩裁判官)が昨年10月、無罪判決(求刑・罰金15万円)を言い渡していたことが分かった。法廷で経営者の無料通信アプリ「LINE(ライン)」を検証した結果、客も巻き込んで事件をでっち上げていた可能性が浮上し、暴行を認める証拠がないと判断した。東京地検は控訴せず無罪が確定した。

 判決などによると、元従業員は2014年9月、未払い給与の支払いを巡って経営者と口論となり店を辞めた。約2カ月後、辞める際に店外で経営者を殴るなどした容疑で警視庁に逮捕された。元従業員は否認したが、別の中国人従業員と客が逮捕容疑に沿った目撃証言をしたため起訴され、約20日間勾留されたという。

 公判で経営者は「元従業員に頬を平手でたたかれた」と主張。従業員も尋問で「ママが平手打ちされるのを見た」と答えた。経営者とこの従業員は互いに「親族ではない」と述べ、店員募集の看板を見て偶然働くことになったと説明していた。

 ところが、尋問後に元従業員の弁護人が外国人登録の内容を法務省に照会した結果、2人は伯母とめいで中国にいた当時同居していたことが判明。尋問がやり直された。

 2人は「他人だとうそをついた」と謝罪したものの、暴行があったとする証言は変えなかった。信用性の疑問が生じたためだが、地裁が経営者にスマートフォンの提出を命じ、その場でLINEを検証すると、事件があったとされる日の1週間後、従業員が経営者に対して「(証言した)客がママのために(元従業員を)懲らしめる」などと送信していたことが発覚。経営者も「逮捕できる?」などと返していた。

 その後、証人出廷した客は「ママが平手でたたかれるのは見た」と証言したが、詳しい状況を尋ねられると「記憶にない」と繰り返したという。

 判決はLINEのやり取りから「客が店に来てから元従業員を『懲らしめる』というやり取りがあり、何らかの話し合いがあったと見るのが合理的」と指摘。経営者と従業員、客の証言は「意図的に虚偽を述べている部分があり信用できない」と指摘し、無罪とした。

 弁護人の趙誠峰弁護士は「被害を訴えたい人と目撃者が協力すれば証拠がそろい、犯罪を作ることも可能だと示した事件だ。証言が主要証拠の場合、検察には慎重な検討が求められる」と話した。東京地検は「コメントはない」としている。【島田信幸】

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