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荒川洋治・評 『後藤明生コレクション2 前期2』=後藤明生・著

 (国書刊行会・3240円)

 日常を背景に特色のある作品を書いた作家、後藤明生(めいせい)(一九三二-一九九九)の全五巻の選集の最新刊。一九七〇年から一九七三年の期間に発表の主要作七編を収録する。後藤明生の選集刊行は、初。

 後藤明生は、小説とは何か、文学とは何かを考える上でとても重要な小説を書きあげた人である。いちど作品にふれると、いつのまにかその世界に引きこまれる。まずは冒頭の短編「誰?」(一九七〇)。

 コンクリート五階建ての団地。妻と、二人の子どもと暮らす三七歳の男は、週刊誌の記事を書くライター。ある日、「富士山がとってもきれいだわよ」と妻がいうので、べランダに出てみると、富士山が見える。「F58号棟と59号棟との間に、そのいずれの棟よりも遥(はる)かに低く、ほとんど半分ほどの高さに挟まって見えた」。富士山の低さに、男は「名づけ難い衝撃」をおぼえ、「突然うち砕かれた」。男は、ともかく団地の外へ…

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