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戸隠竹細工

職人の高齢化で「そばざる」不足に

切り出してきた竹を割いた材料で、竹かごを編む井上栄一さん=長野市戸隠で2017年3月1日午後0時7分、稲垣衆史撮影

 「戸隠そば」に欠かせない長野市・戸隠竹細工の「そばざる」が不足している。竹細工の中でもざる作りは特に高い技術が必要だが、高齢化で戸隠の職人は最盛期の10分の1ほどになり、全国のそば店からの注文に追いついていない。江戸期から地域の生活を支えてきた技術を守ろうと、中社竹細工生産組合は後継者の確保を目指し、模索を始めた。【稲垣衆史】

 中社近くの老舗そば店「戸隠堂」。店内の一角が店主、村上武夫さん(75)の竹細工工房だ。3年前から冬季休業中に熟練職人に師事し、そばざる作りを学び始めた。店用のそばざるさえ手に入りにくい状況を知ったことがきっかけだ。約50年ぶりの再開だった。

 竹細工は山で竹を直接刈り取った後、細い棒状にする「竹割り」の習得が難しい。長く使えるよう、そばざるの縁は柔らかく丈夫な竹を使うなど、部分に合わせて生育年数や太さが違う材料を使う技術が伝わってきた。

 店内には父が作ったざるや農具などが並ぶ。年季を感じさせるアメ色でも編み込みはしっかりしたまま。「大事にすれば50年たっても使える。腕利きの職人のざるは見た目も手触りも違う」

 組合はかつて家業の竹細工を手伝っていた村上さんのような経験者に向けた講習会を昨年初めて開き、技術をつなごうとしている。「70代に負けず若い人も取り組んでほしい」。村上さんの希望だ。

■大半が70代以上■ 昭和初期ごろまで、地区の竹細工職人は100人余りいた。だが仕事の多様化や輸入品の増加などで現在は50~80代の約30人に減った。そばざるを作れる熟練者に限れば10人弱。それも大半が70代以上だ。明治から続く原山竹細工店では全国からざる300枚を受注しているが納品は半年待ち。4代目の原山昭俊さん(56)は「産地が全国的に減って注文が集中し、対応できない」と漏らす。

 後継者を育てる動きは度々あったが資金や理解が足りず、ついえてきた。材料調達から仕上げまで1人で行うため、そばざるなら1日2枚の生産が限界。弟子を育てる余裕も乏しい。井上栄一組合長(62)は「そばざるは現在1枚3500円前後だが、倍以上にしても職人だけで生計は立てられない。価値は理解してもらいにくい」と打ち明ける。

■ブランド化新組織■ 「戸隠と言えば『そば』と『竹細工』が浮かぶようにしたい」。地域おこし協力隊の栗原健さん(31)=東京都出身=は竹細工PRの一方、技術も学んできた。間もなく3年の任期が切れるが、職人としてとどまるのが希望だ。

 若手参入に向け、組合は4月にも体制作りを本格化させる。品質基準を定めて「戸隠竹細工」としてブランド化を図り、5年かけて新たな職人数人を育てていく。地元の観光・商工団体なども初めて巻き込み、新組織を発足させる計画だ。

 材料を共同で調達する分業も取り入れることで生産性を上げ、取り組みやすくする構想もある。井上組合長は「一時的につなぐだけでは衰退は止められない。若手を育て、時代に合った竹細工にしていくことで伝統を残したい」と話した。

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