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文芸時評

3月 想像力の先の現実 作家の切実な危機感=田中和生

 大阪府豊中市で小学校を開校予定だった森友学園の問題は、わたしが見るところ現政権に近い思想信条をもつ者が、特別な便宜を図ってもらえると感じていたこと、またそのことに対するチェックが、公的機関でもマスメディアでも甘くなることに本質がある。現在の日本では報道の自由だけでなく、公的機関の公平さが失われつつあることを示す、象徴的な出来事と言っていい。力作揃(ぞろ)いの今月の作品で、そこまで想像力が届いていると思ったのは、黒川創の長篇(ちょうへん)『岩場の上から』(新潮社)である。

 戦後百年となる二〇四五年を迎えた近未来の日本を舞台に、作者は群像劇の手法で北関東にある架空の町「院加(いんか)」をめぐる人々を描く。アイヌ語の「インカルシ(いつも眺める場所)」に由来する、巨大な岩場のあるその町は、近くに陸軍基地と演習場があり、そこで使用済み核燃料の最終処分場建設が計画されている様子だ。様子というのは、日本がすでに「積極的平和維持活動」と言い換えられた対テロ戦争に巻き込まれ、メデ…

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