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社説

JR誕生から30年 鉄道をもう一度考える時

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 国鉄が115年の歴史に幕を下ろし、分割・民営化でJRが発進してから丸30年となった。

     旅客6社と貨物1社に分かれ、「地域密着の鉄道」「経営効率化によるサービス向上」を目指してきた。政治が経営の判断を握り、無責任体質の中で借金の山を築いた「お国の鉄道会社」が、民間企業として意識改革に取り組んだ成果は大きい。

     切符にハサミを入れていた改札は自動化され、電子マネー機能を持ったIC乗車カードが登場、今ではスマートフォンを改札機にかざし乗車できる。駅構内の商業スペース・駅ナカや、近代的な駅ビルなど、都市を中心に駅の姿も大きく変わった。

     しかし、この間の変遷はJR会社ごとに大きく異なる。東京、大阪という2大都市圏を新幹線で結ぶJR東海は、何兆円もの資金を投じリニア中央新幹線の建設にまい進する。

     一方、過疎化が特に深刻なJR北海道は、全線路の約半分が、単独での維持は困難と見られ、民営化後最大のリストラに直面している。

     分割で生じた地理的優位性の差に追い打ちをかけたのは、金利の大幅な低下だ。経営体力のある本州の3社(JR東日本、西日本、東海)は、借金の金利負担が急減する恩恵を受けた。反対に、体力の弱い3島会社(JR北海道、四国、九州)は、鉄道事業の赤字を穴埋めすべく設けられた経営安定基金の運用益が、見込み通りに得られなくなった。

     JR各社の格差は、ますます拡大するかもしれない。だが、鉄道が直面する課題は、黒字会社であっても無関心ではいられないはずだ。

     旅客各社は、鉄道業務以外での収益力向上を図りつつ、鉄道事業のあり方を根本から見つめ直す時に来ている。利用者の減少により、「長距離の大量輸送」という鉄道の強みが生かされなくなった地区では、バスや乗り合いタクシーなどへの切り替えも検討したらよい。

     それは必ずしも「地域密着」と矛盾するものではない。その土地に適した乗り物のかたちを、地元の活性化と一体で考えていく必要がある。

     高齢化や人口減少が進んでも成長をあきらめることはない。国外からの旅行者をさらに呼び込むためにも、異業種や外国からの人材を、幅広く活用していってほしい。

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