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ピアニスト・辻井伸行さんの母 いつ子さん/下 「可能性は無限大」教わった

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 ピアノが好きでたまらない、海外のコンクールに出てみたい--常に意欲的な辻井伸行さん(28)。そばには自然体で後押しする母いつ子さん(56)の姿があった。

 就学前、他の子どもと過ごす時間も必要と考えたが、近くで視覚障害児を受け入れる幼稚園はなかった。「交渉する選択肢もあったのですが、入ったとして本人は楽しいのかな、私も自分のエネルギーを伸行が伸行らしく生きる環境を整えることに使いたい、と考えました」。幸い夫の孝さん(60)が勤める病院の保育所に通えることになり、午前中を他の子どもたちと過ごすようになった。小学校は、点字習得が学習には必要、との認識から迷わず盲学校に進んだ。

 この頃、ピアニストとしての成長に長く大きく関わる川上昌裕さんがウィーンから帰国、本格的なレッスンが始まった。だが、その時はまだ、いつ子さんも孝さんも、プロを目指すことは考えていなかった。毎日張り切って練習する伸行さんを、やれるところまで応援しようという気持ちだった。ある全盲の演奏家に「山に上ったら下りてこられないのですよ」と言われたときは「無理なら下りてくればいいのに」と思った。怖いもの知らずだ…

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