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今村担当相の「自己責任」発言 復興を語る資格はない

 本音が出たと言うべきだ。

     今村雅弘復興相が東京電力福島第1原発事故で自主避難した人たちの帰還問題について「本人の責任、判断だ」などと語った。

     実情を理解しているとは思えない発言だ。抗議の声や辞任を求める声が広がっているのは当然である。

     事故後、避難指示の対象区域以外から家を離れた自主避難者は福島県の集計で2万数千人に上る。しかし福島県が続けてきた避難先での家賃負担は今春から打ち切られた。

     これを踏まえ、記者会見で「自主避難者に対する国の責任をどう感じているか」と記者が質問したのをきっかけに発言は飛び出した。

     今村氏は帰還するかどうかは「本人の判断」と語ったうえで、「帰れない人たちには国は責任を取らないのか」との質問に対して「(不満なら)裁判でも何でもやればいい」と言い放った。もはや開き直りだ。

     問い続ける記者に対し、今村氏が「出て行きなさい」「うるさい」と激高した姿にも驚くばかりだ。

     これが復興相の発言だろうか。

     そもそも自主避難者は好んで逃れたのではない。事故の被害者だ。

     家賃負担の打ち切りは避難者の帰還を促すのが目的という。ただし避難先での仕事や子供の学校の事情で帰還しない人もいる。苦しい生活を強いられている家庭も多い。放射能への不安が残る人もいるだろう。

     こうした複雑な事情を顧みず、勝手に避難して帰らないのなら仕方がないと言わんばかりに、冷たく自己責任論を口にする。被災者に寄り添っているとは到底言えない。

     避難住民らが起こした集団訴訟で前橋地裁は原発事故に対し国の過失責任を認める判決を出している。一方、自主避難者に対して独自予算で支援を続ける自治体もある。避難者間に格差が広がる可能性がある。

     国が調整してサポートするのは最低限の責務だろう。にもかかわらず結局、早く切り捨てたいのが国の本音と受け止めた人は多いはずだ。

     元々、安倍内閣では復興相ポストは重要視されていないように見える。先月開かれた東日本大震災の政府主催追悼式では、安倍晋三首相は原発事故という言葉を式辞で使わなかった。今村氏の発言は政権全体の原発事故軽視姿勢の表れでもある。

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