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堀江敏幸・評 『ジュール・ヴェルヌ<驚異の旅>コレクション2…』=ジュール・ヴェルヌ著

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 ◆『ジュール・ヴェルヌ<驚異の旅>コレクション2 地球から月へ 月を回って 上も下もなく』

無鉄砲な面々の冒険

 (インスクリプト・6264円)

 ジュール・ヴェルヌと言えば、『十五少年漂流記』『八十日間世界一周』『海底二万里』などで知られる十九世紀フランスの作家だが、豊富な挿絵入りの版や少年少女向けの短縮版の影響もあるのだろう、同時代を生きたバルザックやゾラほどには、文学的な評価がなされてこなかった。しかし、ヴェルヌにも彼らの仕事に匹敵する<驚異の旅>と名付けられた作品群があり、興趣あふれる冒険小説的な枠組、百科全書的な知に裏打ちされた細部の描写、筋書きからはみ出す勢いで展開される科学的な議論の光彩によって、二度、三度の読み返しではとても回りきれない、広大な世界を示してくれている。

 本書はその旅の端緒となった『地球から月へ』(一八六五)、『月を回って』(六九)の連作と、二十年後に書かれた続編『上も下もなく』(八九)の三作をまとめたものである。共通しているのは、<ガン・クラブ>と呼ばれる組織の存在だ。これは文字通り大砲愛好家の意で、アメリカ南北戦争のさなか、ボルティモアで新型大砲を開発した男が中心になって、大砲を鋳造した者や、砲腔(ほうこう)を穿(うが)った者と手を組んだ集ま…

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