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「銃剣道」初明記 ネットで賛否渦巻く

中学校の学習指導要領の表現は、どう変わる?

 2021年春に中学で実施される新学習指導要領の本文に、保健体育で武道の選択肢として「銃剣道」が初めて明記された。戦前の軍事教練の流れをくみ、インターネット上で賛否が渦巻いている。現行の指導要領でも「武道」は銃剣道を含み、授業で教えることができる。それがあえて明記された背景を追った。

 そもそも銃剣は小銃の先に装着する短剣。敵との接近戦で相手を倒す武器だ。第二次世界大戦で旧日本軍が使った。

 銃剣の使い方を武道としたのが銃剣道だ。明治期に伝わったフランス流銃剣術に日本の槍術(そうじゅつ)などを取り込んだもので、小銃を模した「木銃(もくじゅう)」で相手に突きを入れる。剣道のように打つことはできない。突く場所は致命傷を与える左胸と喉。その部分を守る防具を着ける。相手が左胸を左腕で隠せば小手、体勢を崩せば左肩を突く。

 戦後はスポーツとして再出発し、1980年には国体競技となった。全日本銃剣道連盟によると全国の連盟会員3万人の大半は自衛官か元自衛官だ。銃剣道部を持つ高校は全国で15校程度。中学では全国でただ一つ、神奈川県平塚市の市立中学校が体育で教えている。授業の様子を連盟提供の動画で見た。

 「やあっ」。体育館でジャージー姿の中学生が、木銃をかけ声とともに前に突き出す。木銃の長さは166センチ。旧軍の「三八式歩兵銃」に銃剣を装着した全長に由来する。男性体育教諭(34)は「2年前から1、2年生に教えている。連盟の指導に従い、防具なしで形(かた)を学ばせるだけ。けがの心配はない」と話す。保護者から疑問の声はないという。

    ◆

 「銃剣道」明記の経緯は奇妙だった。

 文部科学省が2月に公表した新指導要領案には、伝統と文化を重視する文科相の諮問機関「中央教育審議会」の答申を踏まえ、現行要領より武道に力を入れる表現が入った。武道9種類(競技団体が日本武道協議会に加盟)のうち8種類(柔道・剣道・相撲・空手道・なぎなた・弓道・合気道・少林寺拳法)を明記。銃剣道は「授業の実施率が低い」(スポーツ庁政策課学校体育室)として省かれた。ところが3月末の完成版に銃剣道が入っていた。

 実は、案の段階で国民の意見を募るパブリックコメントの手続きで、銃剣道明記を求める意見が数百も寄せられていた。元陸上自衛官で「ヒゲの隊長」こと自民党の佐藤正久参院議員は取材に「記載はあり得るのかと文科省に聞いたらパブコメに意見を、というので、自民党議員や自衛隊OB、自分の支援者に呼びかけた」と説明する。

 ネット上では「武道として公平に扱え」という声の一方で、「戦前回帰だ」「人殺しの技術を教えるな」など疑問や不安の声が上がる。佐藤氏は「銃剣道はスポーツで実戦向けの銃剣格闘とは違う。剣道やなぎなたも元々は相手を殺傷するためのもので、銃剣道だけ批判されるのはおかしい」と訴えている。銃剣道連盟の鈴木健専務理事は「批判も含め思ったより話題になり、ありがたい。銃剣道が人間形成を目的とするスポーツだと多くの人に知ってほしい」と論争を歓迎している。【福永方人】

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