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余録

14世紀の詩人ボッカチオが書いた「デカメロン」は…

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 14世紀の詩人ボッカチオが書いた「デカメロン」はフィレンツェを襲ったペストの流行を記している。「一日千人以上罹(り)病(びょう)しました。看病する人もなく、手当も加えられないので、皆はかなく死んでいきました」▲この疫病で市の人口は半減したといわれる。欧州全体で人口の3分の1から4分の1が失われたといわれるペスト禍だった。「死を忘れるな!」はこの時におびただしい死を目の当たりにした人々によって語り伝えられた言葉だった▲このような疫病や戦乱などによる人口急減を人口崩壊という。むろん日本でも戦乱や飢饉(ききん)はあったが、弥生時代以降は一気に人口の数割もが失われる大規模な人口崩壊は経験していない。ただし現代を除いては……というべきなのか▲国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、2065年の日本の人口は約8800万人、今より3割減の水準になるという。53年には1億人の大台を割る見通しで、たとえ戦乱や疫病がなくともやってくる人口の崩壊である▲人口8000万人台は1950年代に戻る形で、何とも激しいアップダウンである。すでに日本は超高齢少子社会に様がわりし、50年後は高齢者1人を働き手世代1・3人で支える世になる。「崩壊」は社会保障や経済の話となった▲14世紀欧州のペストによる人口崩壊はやがてルネサンスという文明の転換の引き金となった。21世紀日本の静かな人口崩壊がどんな文明の変容をもたらすかは、今日の各世代の選択いかんにかかっていよう。

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